小池百合子都知事、職員の採点は歴代最低|後藤貴智(「都政新報」編集長)

小池百合子都知事、職員の採点は歴代最低|後藤貴智(「都政新報」編集長)

6月1日のJX通信社の調査によると、小池都知事の「強く支持する」「どちらかと言えば支持する」とした人は合わせて69.7%で、前回3月の調査と比べると、約20ポイントも大幅上昇をしたという。一方で、共に仕事をしている都の職員からの採点はなんと歴代最低!! 2020年8月号に掲載された都政新報編集長の分析記事を一部サイトに公開中。


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知事は都政を愛していない

小池都知事は、直属の部下である東京都職員たちからの信頼はかなり低い。

都政新報は昨年11~12月に都職員アンケートを実施し、「小池都政一期目を100点満点で言うと何点か」を訊きました。

結果は平均で46.4点。これは極めて低い結果です。たとえば石原慎太郎都知事の時に行ったアンケートでは、1期目は71.1点。批判を浴びた3期目ですら48.2点でした。舛添要一前都知事の場合は、1期目前半の評価が63.6点。

小池都知事の評価はアンケート史上最低。しかも、最初の一年のアンケートでは46.6点ですから、0.2点落ちてしまったことになるのです。

低い点数を付けた職員からは、こんなコメントが寄せられています。

「自らのパフォーマンス先行で、職員はそのための道具になっている。知事のための仕事をしようとはなかなか考えることができない」(50代、出先部長)

「自分をよく見せることしか考えていない。特定の会派を悪玉にするやり方はワイドショー的には盛り上がるが、本当に都民のためになっているか疑問」(50代、本庁部長)

「働き方改革は進んだが、知事のワガママや思い込みで手戻り(前の段階に戻ってやり直すこと)になる事例が多すぎる。都合の悪い事は聞く耳を持たない」(50代、本庁部長級以上)

「彼女がいることで都政が受けるダメージは計り知れず、辛うじて効果のある事務方の施策もすべて無になってしまう。知事不在の方がマシ」(40代、本庁課長級)

「都政新報」1月7日号

聞こえの良い言葉だけ

公約の「7つの0」、ゼロは公約というよりも目標であって、「ゼロを目指すことが大事」という小池都知事の弁は間違いではありませんが、具体的にゼロにするための取り組みがあるかと言えばそれは見えず、スローガン先行の感が否めないのが正直なところです。

「スローガン先行で、パフォーマンスばかり」を象徴しているのが、築地市場移転問題でしょう。

知事選で小池氏は市場移転を「立ち止まって考える」と宣言し、その後、盛り土の欠落などがクローズアップされて、すったもんだの挙句、二年遅れての豊洲市場開場となった。

アンケートでは、土壌汚染対策の追加や環状二号線開通の遅れなど、知事の「総合的な判断」について86.5%が、また、知事の「築地は守る、豊洲は生かす」の基本方針について89.7八九・七%が評価しない、と答えています。

「二年の時間と無用な費用を投じただけであり、市場業者の寿命が縮んだ。それ以前のプロセスがあたかも間違っているかのような印象操作は都政を傷つけた。最終的には方針を踏襲しただけ。築地を守る取り組みは何ら行っていない」(40代、本庁課長代理級)

「二つの市場が成り立つことはあり得ない。聞こえの良い言葉で世論を動かした責任は重い」(40代、本庁課長級)

「知事就任前からオリ・パラに向けて環2を何とか間に合わせようとした所管の思いと努力を無駄にした罪は重い。レトリックや屁理屈で逃げた感が否めない」(50代、本庁課長級)

厳しい批判ばかりで、これは都職員の多くも同じ思いでしょう。

今年三月、都政新報社から元都中央卸売市場次長だった澤章氏の『築地と豊洲』という本を出しました。著者が小池都知事の発言と指示に翻弄されながらも、六千億円かけた豊洲市場を何とか有効活用したいと奮闘した記録です。本書のなかに、こんな場面があります。築地市場のままか、豊洲市場に移転するか、都知事の決断を待っているところで──。

正午のNHKニュースが始まる。トップニュースだった。

「『築地に市場機能確保』方針固める」

全身から力が抜けた。

知事は築地を選んだ。だがしかし、である。都庁の事務方トップの面々が雁首そろえた挙句、都政の最重要課題の最重大決定をテレビのニュースで初めて知ったのである。これほど滑稽な光景はない。これほど屈辱的なことはない。我々は完全に蚊帳の外に置かれたのだ。その場にいた全員がそう痛感した。

都知事と都職員との関係が全く築けていないことが明確にわかる場面です。都職員は表層的ではなく、こういった小池都知事の根っこの部分を見ているからこそ、厳しい評価になったのだと考えられます。ちなみにこのあと、「築地は守る、豊洲は生かす」のキャッチコピーが発表されました。

物足りないコロナ対策

直近の新型コロナ対策ではどうか。

JX通信社による世論調査では、小池都知事の対応を「高く評価する」 「どちらかと言えば評価する」と答えた人の割合は合わせて76.6%。東京オリンピック・パラリンピックを開催したい思いがあったために、延期決定前は判断や対応が極めて鈍かったのはたしかですが、延期決定後は一定のスピード感をもって対応しています。私も、未知とのウイルスとの戦いでもっとも感染者を抱えている都市のリーダーとしては、それほど失敗はなく対応しているようには思いました。

しかし、たとえば大阪府の吉村洋文知事に比べると、小池都知事の対応は物足りないと言わざるを得ない。東京都は感染者が多く、他の自治体よりも率先して動かなければならないはずです。にもかかわらず、後手後手に回っている印象は否めません。

また、休業要請に応じる店や施設への支援金は、都庁内では慎重な判断をという声もあったのですが、東京の経済を守るという観点から都知事が決断した。”バラマキ”との批判もありますが、個人的には第一弾はこれでよかったと思います。が、第二弾以降は店や施設の状況によって対応を変えていく方式を取るべきだったのではないか、と考えています。

それでも、東京都は9000億円超の財政調整基金を抱えていたからこれができましたが、他の近隣県は無理で、足並みがそろわなかった。実は、ここが一番の問題です。つまり、近隣県との調整がうまくいっていない。

休業要請に関しても、都が率先してやるのか、それとも周りの県と併せて一斉に動くのか、そういったすり合わせなどの動きがたいへん鈍かった。近隣県は東京への、また東京からの移動が多数ありますから、そういう状況を考えても周辺ときちんとコミュニケーションを取り、先駆的な取り組みを行い、それが全国に広がっていく──そんな動きがあってもよかったように思います。

これは今回に限らず、小池都政の致命的な弱点と言えます。すなわち、外部とのパイプが細くて連携がとても弱い。これは近隣県だけでなく、国に対しても同様です。



――このほか、学歴詐称疑惑、議会運営の問題、歴代4都知事の比較評価、仮に二期目をつとめるとしたら小池都知事が迎える試練などなど、東京都知事選を前に必読の内容です。

続きはぜひ本誌で!

月刊『Hanada』2020年8月草笛号

後藤貴智 | Hanadaプラス

https://hanada-plus.jp/articles/392

ごとう たかのり 1972年、茨城県生まれ。法政大学社会学部社会学科卒。出版社勤務を経て、2004年に都政新報社入社。東京都や都内区市町村が取り組む政策などを中心に扱う専門紙「都政新報」編集部に配属。2016年4月から現職。

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後藤貴智

後藤貴智

ごとう たかのり 1972年、茨城県生まれ。法政大学社会学部社会学科卒。出版社勤務を経て、2004年に都政新報社入社。東京都や都内区市町村が取り組む政策などを中心に扱う専門紙「都政新報」編集部に配属。2016年4月から現職。


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