膳場貴子氏:こうした「平和を訴えることの難しさ」の一方で、「戦争を訴えることの容易さ」を指摘する専門家がいます。かねて紛争国からの留学生などと、コミュニケーションの観点から「戦争と平和」を研究してきた、伊藤剛さん。
伊藤さんが例として挙げたのが画像検索。「WAR=戦争」と検索すると、銃や戦車など戦場の具体的なイメージが出る一方、「PEACE=平和」では、ピースマークや鳩など抽象的なものばかり。
「戦争」は、その具体的イメージによる分かりやすさが、悪用されてきたといいます。例えば、戦時中の日本はアメリカやイギリスを「鬼畜米英」と呼び、最近のアメリカでも…
ブッシュ大統領(2002年当時):(イラン・イラク・北朝鮮は)テロリストとともに“悪の枢軸”を形成する。
トランプ大統領:地球上で最も暴力的で残忍な政権を、自由にできなくしてやる。
ここに『サンデーモーニング』のレトリックがあります。
『サンデーモーニング』は、一方的に米国とイスラエルを悪者にしていますが、世界に恐怖を与える核開発とテロ・戦争支援を行い、自国民を弾圧しているイランが「悪の枢軸」「地球上で暴力的で残忍な政権」の一つであることは紛れもない真実です。
この真実を語ることを「戦争を訴えることの容易さ」などとレッテル貼りすることで隠蔽することの方がよっぽど大問題です。
膳場貴子氏:さらに、「平和」の曖昧さを逆手にとって利用しています。為政者は、「平和」の曖昧さを逆手にとって、しばしば「平和のための戦争」といった大義を掲げてきました。
今回のイラン攻撃で、トランプ大統領は「今や『平和』が訪れようとしている。我々が徹底的に叩きのめしてやったからだ」と発言。
また、ウクライナ侵攻に際し、プーチン大統領は2023年、「ロシアが目的を達成すれば、『平和』が訪れる」と話しました。伊藤さんは、こうした「平和の悪用」の背景には、物事の都合の良い単純化があるといいます。
物事を都合よく単純化しているのは『サンデーモーニング』の方です。
イランは、「戦争」の曖昧さを逆手にとって他国との直接的な軍事衝突を避けることで「平和」を装い、レバノンのヒズボラ、イラクのシーア派民兵、イエメンのフーシ派などの武装組織を指揮・支援することでシリア内戦・イラク内戦・イエメン内戦などに深く関与してきました。


