【読書亡羊】熊はこうして住宅地にやってくる!  佐々木洋『新・都市動物たちの事件簿』(時事通信社)|梶原麻衣子

【読書亡羊】熊はこうして住宅地にやってくる! 佐々木洋『新・都市動物たちの事件簿』(時事通信社)|梶原麻衣子

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


北上するクマゼミ

本書では、熊を含め都市部や住宅街に現れるようになった生き物を「都市動物」と称し、その変化を追っている。

熊以外にも、なぜか都会で増えているカブトムシやクワガタムシ、アーバンオウル(ふくろう)やアーバンスカンクや、逆にアズマヒキガエルのように変化のあおりを受けて都市部では姿を消しつつある生き物も登場する。

定点観測をし続けているからこそ、著者は少しの変化にも敏感に気付くことができる。例えばこの夏は異様に長く暑かったが、東京にいる人々が耳にした蝉の声はほとんどがクマゼミだったのではないかと考えられるほど、東京ではクマゼミが増えているのだという。

子供の頃からセミ好きだった著者によれば、半世紀前には東京ではクマゼミはほとんどいなかった。沖縄から本州南部に分布していたからである。それが今や、宮城県、福島県などでも鳴き声が記録されるようになったという。

その理由は、人間による樹木(とそれに付随する土)の移動によってセミが北上しているケースもあれば、もう一つはやはり温暖化の影響ではないかと指摘している。

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いくら人間の行いでクマゼミが東京都心部に入ってきても、その後クマゼミの好む気候が続かなければ、現在のように定着はできないだろう。

暑すぎる東京の夏もクマゼミにとっては過ごしやすい環境なのかもしれないが、このまま温暖化が進むとどうなるかは誰にも予測がつかない。

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読書亡羊 書評 梶原麻衣子

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