畠山氏は勘違いされていると思いますが、そもそも私たちが住む世界に「絶対に安全」とか「ゼロリスク」のものは存在しません。常に安全性を高めてリスクを低くする改良を行っているに過ぎません。
例えば、原発の安全性は「止める」「冷やす」「閉じ込める」ことで確保されますが、これに関係するSクラス構造物の耐震性は建築基準法の3倍を基準にするなど、普段人々が許容しているリスクに対して、さらに高い安全率を乗じて設計・施工しています。
実際、1000年に一度とされる東日本大震災でも能登半島地震でもSクラス構造物の耐震性に問題はありませんでした。福島で問題があったのは津波により非常用電源を喪失したことです。このため、新規制基準では、原発の海側に巨大な防潮堤を作り、津波が達することのない高所に複数の非常用電源を複数台設置することが求められています。建屋の水素防護対策としてフィルターベントも採用されています。
これらの対策は厳密な意味ではゼロリスクではありませんが、工学的にはゼロリスクに等しい、十分に許容可能なリスクであると言えます。
日経新聞の二転三転
畠山澄子氏:コストの面でも13日の日経新聞が「原発は安く再生エネルギーは安い。そんな常識は過去のものだ」と一面に書いていた。これらも踏まえれば、いわゆる想定外の事故を経験した日本がエネルギー基本計画から原発依存度を下げるという文言を削除し、その文脈で原発新増設まで語るというのはあまりにもおかしい。
日経新聞が報じたのは導入費用であって、接続費用を加えた電気料金は電力比率と負の相関性を持ちます。
原子力比率と電気料金