再エネは原発よりもトータルのコストは高い
2024年12月15日の『サンデーモーニング』では、また重篤な原子力アレルギーの症状が現れました。
膳場貴子氏:9日月曜日、3年ぶりに改定されるエネルギー基本計画、2040年度に政府が目指す電源構成がこの日明らかになりました。太陽光や風力など最背可能エネルギーによる発電は現在2割ほどですが、4割から5割まで増やす計画です。
現在7割を占める石炭や天然ガスなどの火力発電は3割から4割に減らすとしています。原発については、現在の1割弱から2割程度まで増やし、福島の事故以降、基本計画に盛り込まれていた「原発依存度を低減する」との文言は削除される方向です。
この再エネを激増させる日本のエネルギー基本計画改定案は、電力不足の危機に怯え、電力料金の高騰に苦しみ、広大な環境破壊を憂える国民の不安とは逆に、電力不足のリスクをさらに増大、電力料金をさらに高騰させ、環境破壊をさらに推し進める内容と考えられます。
まず、AIデータセンターの増大による今後の電力需要の高騰を考えると、安定した大量のベースロード電源が必要になりますが、これを不安定な変動性再エネ(太陽光・風力)で賄うことになれば、そのバックアップ電源として大量の火力発電が必要になってきます。
残念ながら、日本は島国なので、他国から電力の融通を受けることはできないのです。この場合に火力発電は稼働率が低くなるため、その発電コストは自ずと高くなります。
加えて電力自由化で、電力逼迫時の電力の価格はさらに高くなります。つまり、再エネは、原発よりも導入コストがやや低くても、接続コストが非常に高くなるため、原発よりもトータルのコストは高くなるのです。
また、再エネは火力発電を必要とするため、二酸化炭素排出量も原発に比べて多くなります。再エネを導入するということは、火力発電を廃止するどころか、火力発電なしには電力を確保できない状況を作ることになるのです。
もちろん、大量の長期蓄電システムを導入すれば、その問題は解決しますが、それには莫大なコストが必要となります。
さらに大きな問題は、水力発電の適地が既に枯渇しているため、現在2割(水力1割+変動性再エネ1割)の再エネを4割から5割に増やすにあたって、変動性再エネを現在の3倍から4倍に増やす必要があり、そのためには莫大な土地を確保することが必要になることです。
現在でも豊かな自然を大規模に破壊する迷惑施設として住民の怒りを買っている太陽光発電・風力発電所を現在の3倍から4倍に増やすことは極めて困難であると考えられます。