計算結果によれば、産業革命以降の地球温暖化による平均気温の上昇(1.3℃)により、温暖化の影響がない場合に比べて、台風の最大風速が秒速約3m(7.5%)強くなり、発生確率が26%高まっているというシミュレーション結果が得られました。これらは極めて緩慢な変化です。
つまり人間は、台風に関して「これまでに経験したことがないような経験」を体感することはできないということです。台風への温暖化の影響があったとしても、その変化は極めて小さく、私たちは「これまでに経験したことがあるような経験」しか基本的に体感することはできないのです。
確かに、台風を含めた豪雨災害への温暖化の影響は確実に存在すると考えられます。しかしながら、『サンデーモーニング』のように、合理的な証拠を示すことなく、すべてを安易に温暖化と結びつける言説は厳に慎む必要があります。台風に対する温暖化の影響を過大に示唆して恐怖を煽るのは社会にとって迷惑なことです。
なお、気候変動問題において、気候正義を振りかざして盲目的に過激な脱炭素化を推進することは、必ずしも地球を救うことにはなりません。
現代を生きる私たちに求められるのは、冷静にリスク=ベネフィット分析を行うことで、自虐的な脱炭素絶対主義から社会を解放することです。
個人ブログ「マスメディア報道のメソドロジー」にて、論理学や心理学の定義に基づいた、メディアの報道・政治家の議論における論理的誤謬などの問題点を指摘。「ひるおび」「報道ステーション」「NEWS23」「サンデーモーニング」などの具体的な放送内容や議員の答弁、記者の発言などを例示しての論理的な分析が話題を呼んでいる。記事の一部を言論プラットフォーム「アゴラ」にも転載中。