【読書亡羊】サイバー安全保障を「机上の空論」にしないために  小宮山功一朗・小泉悠『サイバースペースの地政学』(ハヤカワ新書)

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その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


文字通りの「人手」が欠かせない

IT人材と言えば、いまならAIを使いこなすエンジニアまでが含まれるが、これらの人々が活躍するためには、物理的なインフラを担う技術者の存在が欠かせない。

寒いくらいのサーバルームにこもって仕事をするエンジニアと同様に、ケーブルを製造し、それを海底に敷く船に乗り込み、沿岸部にある中継機に張り付いてインフラを守る技術者をも育てなければ、日本のサイバー水準は保てない。物理的なインフラの保護には、文字通りの「人手」が欠かせないのだ。

そう考えると、本書は、サイバー戦を語る際に、地理的要素や物理的な側面を疎かにしてはいけない(つまり、文字通りの「机上の空論」にとどまってはいけない)――ことをも示唆しているのではないだろうか。

梶原麻衣子 | Hanadaプラス

https://hanada-plus.jp/articles/712/

ライター・編集者。1980年埼玉県生まれ。月刊『WiLL』、月刊『Hanada』編集部を経てフリー。雑誌、ウェブでインタビュー記事などの取材・執筆のほか、書籍の編集・構成などを手掛ける。

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書評 読書亡羊 梶原麻衣子

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