理不尽な無駄遣いを終わらせる
客観的な論理ではなく主観的な倫理で原発を悪魔化した反原発主義者による無責任な世論形成の結果、日本の全原発は長期間にわたって稼働停止に追い込まれました。この稼働停止によって、日本のベースロード電源が供給する電力(kW)は、24時間にわたって一律大幅に低下しました。
これを代替したのが、ミドルロード電源の石油火力発電とLNG火力発電といった化石エネルギーです。この電源構成の変化によって、削減が進んでいたCO2排出量は一気に増加し、震災前のレベルに戻るまでに約10年の年月を要しました。
『サンデーモーニング』が強く問題視する石炭火力発電を止められないのもベースロード電源の原子力発電をフル稼働できないためです。
引用:日本経済新聞「火力発電 脱炭素化探る」2022/12/25
大手電力などが石炭火力発電所で脱炭素に向けて、燃料の転換などを進めている。発電から出る二酸化炭素(CO2)は国内の4割程度を占める。長期的に温暖化ガスを実質ゼロにするには再生可能エネルギーの活用拡大が求められるが、移行期は電力の安定供給との両立も必要だ。既存の火力発電所で排出量を抑えることが急務となっている。政府は温暖化ガスを2030年度に13年度比46%減、50年までに実質ゼロにする目標を掲
原発の稼働停止は日本経済にも深刻な影響を与えました。日本は火力発電の燃料代として毎年3兆円にも及ぶ追加費用を産油国に対して恒常的に支払うことになったのです。
富が国外に流出するということは、乗数効果がキャンセルされることを意味し、GDPは金額以上に落ち込む羽目に陥ったと言えます。さらに生産コストの上昇に伴う製造業の海外移転による産業の空洞化は日本の存亡に関わる深刻な問題になりました。
この理不尽な無駄遣いを終わらせる意味でも、岸田政権の原発政策の大転換は極めて重要な意味をもつのです。
なお、『サンデーモーニング』を含めた日本のマスメディアが推進した太陽光・風力などの変動性再生可能エネルギーの急拡大によって発電量の調整や予備力の確保が必要となり、電力需給が逼迫するに至っています。また、
①プロファイルコスト(変動性再生可能エネルギーの発電量が上下することに伴う、既存火力等の運用変更と発電効率低下に伴うコスト)
②バランシングコスト(変動性再生可能エネルギーの発電量が予測不可能なことに伴う、既存火力等の発電量の調整や予備力の確保に伴うコスト)
③系統・接続コスト(変動性再生可能エネルギーの適地と需要地が一致しないことに伴う基幹系統整備費用や基幹送電網につなぐコスト)
が必要となり、『サンデーモーニング』が推進した電力自由化に伴う石油火力発電所の淘汰もあり、電力料金は著しく高騰するに至りました。
これに加えて、高額の再エネ賦課金も電気料金に加算されています。さらには、メガソーラーの乱開発によって日本の美しい自然や景観が侵されています。
まさに、反原発主義は、温室効果ガスの削減を阻害しているだけでなく、国民生活を苦しめ、日本の国土を破壊しているのです。