ジャニーズ事務所よりも強いテレビ局の権力
この映像を見れば、性加害の隠蔽のメカニズムは「ジャニーズ事務所の強力な圧力にテレビ局が屈して事実を報じなかった」、すなわち「本当に悪いのはジャニーズ事務所であり、テレビ局は権力者に脅された被害者である」といったような印象を持ちます。
このメカニズムは明らかに論理的ではありません。なぜなら、実際には、テレビ局はジャニーズ事務所よりも強い権力を持っているからです。
公共の電波を独占して番組の編成権・編集権および調査報道能力を持ちあわせたテレビ局が、本気を出してジャニーズ性加害の告発キャンペーンを徹底的に行えば、ジャニーズ事務所を芸能界から簡単に葬ることが可能でした。ただ、テレビ局はジャニー喜多川氏を告発しませんでした。
なぜそうしなかったかと言えば、ジャニー喜多川氏の性加害に沈黙しさえすれば、ジャニーズ・タレントは長期間にわたって安易に視聴率を稼ぐために利用価値がある優良コンテンツであったからです。テレビ局は、社会正義よりも安易な商売を優先したのです。ジャニーズJr.の人権よりも視聴率が大事なのです。
アナウンサー:ジャニーズ事務所を取り巻く状況は厳しさを増しています。飲料水などのCMに所属タレントを起用してきたキリンやアサヒ、さらには日本航空、東京海上日動の4社はCMの契約更新を見送ることを発表しています。
通常の企業コンプライアンスをもつ一般企業は、人権を重視してジャニーズ事務所との取引を停止し始めました。しかしながら、人権意識が希薄なTBSは、編成部長が「タレントさん本人が起こした問題ではない」としてジャニーズ・タレントの起用継続を明言しています。
TBS「タレントさん本人が起こした問題ではない」 ジャニーズタレントの起用継続を明言 : スポーツ報知
https://hochi.news/articles/20230831-OHT1T51235.htmlTBSの10月期改編説明会が31日、オンラインで行われ、ジャニー喜多川前社長による性加害問題で揺れるジャニーズ事務所所属のタレントについて、今後も起用を継続する方針が明かされた。