これを問題視するなら、ジャニーズの性加害を把握後も取引を停止しないTBSの方が悪質です。こんな超ダブル・スタンダードな報道を恥も外聞もなくできるのは、TBSが権力者であるからに他なりません。
ジャニー喜多川氏に性加害を続けさせる環境を提供し続けたテレビ局は、第三者委員会を作って、番組編成者・番組制作者・報道局などを徹底的に調査する必要があります。意図的な性加害の隠蔽が認められた場合には、放送免許を取り消す必要があります。テレビ局は権力者に屈した協力者ではなく、事態を支配できる権力者そのものなのです。
さて、ここに『サンデーモーニング』がジャニー喜多川氏について報じた興味深い放送記録があります。それは、2019年9月14日に「風をよむ」のセグメントで放映された「テレビとアイドル」という特集報道です。
「風をよむ」テレビとアイドル
アナウンサー:日本のショービジネスに一時代を築いた一人のプロデューサーが亡くなりました。金曜日行われたジャニー喜多川さんの家族葬、弔問に訪れたのは1980年代から現在まで日本のテレビ界を彩るおよそ150人のジャニーズ事務所所属のアイドルたちでした。ジャニーズ事務所の社長であるジャニー喜多川さんは1931年ロサンゼルス生まれ、1962年ジャニーズ事務所を設立、その後数々の男性アイドルグループをデビューさせたのです。
これまでにない男性の歌って踊れるアイドルグループをデビューさせたのが、ジャニーズ事務所でした。相次いでデビューする若いアイドルたち、彼らはお茶の間の視聴者たちの圧倒的人気を博します。テレビは手の届かない銀幕のスターに代わって、スターを自分たちに身近な親しみやすい存在へと変えたのです。
碓井広義教授(VTR):スターと呼ばれる人であってもだんだん近いい存在になってくる。若い人達を惹きつける存在としてのアイドルと呼ばれ始めた。アイドルとテレビの親和性みたいなことで言えば、アイドルはけっして完成形ではない。ジャニーさんはそんなテレビの特性をよくわかっていらっしゃったから、その成長のプロセスをきちんと提供していくということを意識していた。
アナウンサー:視聴者に親しみを感じさせ、多くの人を惹きつけたテレビ。アイドルはまさにそうしたテレビの申し子でした。
碓井教授(VTR):「頑張れ」という応援・声援ができるメディアがテレビなんですよね~
アナウンサー:こうしたテレビの特性を活かしてジャニーさんは若い男性たちを時代のアイドルへと変えて行きます。一昨日、そうしたアイドルたちに見送られたジャニー喜多川さん。その軌跡はあらためてテレビとは何かということを考えさせてくれます。
アナウンサー(スタジオトーク):映画だと出来上がった美しい所しか見ないと思うんですけど。テレビだと、歌ったり踊ったりしている時は凄くかっこいいんだけど、バラエティだとかだとちょっとダメダメな部分が見えたり、面白いところが見えたり、そういうところがいいのかなと思います。
関口宏氏:それがテレビなんだろうね。テレビは客観的に見る情報メディアだと思っている。
……と、今となっては、嘘と隠蔽で固めて大衆を騙すテレビの「アイドル商売」をしっかりと検証させてくれる放送でした。「造り物と思わせてしまう造り物」である映画と違って、テレビが「造り物と思わせない造り物」であることがよくわかります。
TBSテレビは、過去の性加害など一切触れることもなく、商売のパートナーであるジャニー喜多川様の人生を、特別に時間を割いて情報番組で礼賛しました。ジャニーズ・タレントの代表曲が散りばめられた映像シークエンスの放映は、TBSとジャニーズ事務所がその後に展開した「アイドル商売」のプロモーション・ヴィデオとしては、意義あるものであったと考えます。
この時に、BBCがジャニー喜多川氏の死去の報道の際に性加害を併せて報道したのとは大きな違いです。
絶好調の風評加害者コンビ
福島第一原発の「汚染水放流デマ」を公共の電波を使って拡散することで、福島市民をはじめとする日本国民に散々迷惑をかけた風評加害者コンビである目加田説子氏と青木理氏がこの日の番組に出演し、ジャニーズ問題で懲りないコメントを連発しました。