「知事選のゴングは鳴った」
静岡県議会で、川勝知事が給与等未返上問題で釈明した(筆者撮影)
最近、産経新聞やウエブ記事などで、反リニアに徹する静岡県の川勝平太知事に対する厳しい批判が集中している。ただどんなに正鵠を射た批判であったとしても、川勝知事に何らのダメージさえ与えることはできていないようだ。
川勝知事の任期は、すでに4期目の折り返しを過ぎた。このため、2025年6月の知事選に向けて川勝知事の去就が注目され始めている。
いわゆる「コシヒカリ発言」の辞職勧告決議に端を発した給料、ボーナス未返上問題は政局に発展し、7月13日未明の静岡県議会で、川勝知事の不信任決議案の審議が行われた。
全県議68人が投票、賛成50(自民県議団40、公明党県議団5、無所属5)、知事与党の反対18で、可決に必要な4分の3に1票届かず、否決された。
今回は、最初から不信任決議案は否決されることを前提に自民党県議団は大騒ぎの火をつけただけに過ぎない。
不信任決議案が否決された後、ある自民党県議が「これで知事選のゴングは鳴った」と語った。自民党県議団は肝心の有力な対抗馬を全く見通せないから、不信任決議を是が非でも通そうとする強い意気込みに欠けた。単に2年後の知事選に向けての狼煙でしかなかったのだ。
ただ、このまま2年が経過して、前回選同様に自民党県議団が有力な対抗馬を擁立できなければ、「反リニア」を貫きたい川勝知事が再出馬へ向かう可能性が高い。
川勝知事の術中にはまる知事たち
給与等未返上問題で、「常時公人」などと知事心得5カ条を述べる川勝知事(静岡県庁、筆者撮影)