韓国が竹島の不法占拠をやめない限り、両国間の関係改善などあり得ない|和田政宗

韓国が竹島の不法占拠をやめない限り、両国間の関係改善などあり得ない|和田政宗

一昨日、2月22日は「竹島の日」であった。「竹島の日」は、明治38(1905)年2月22日に島根県知事が竹島の所管を告示したことにちなむ記念日である。竹島は歴史上の様々な資料からも我が国固有の領土であることは明白である。今回は、竹島の歴史を改めて振り返るとともに、我が国の取るべき方策を述べたい。


江戸時代初期までに竹島の領有権を確立

竹島は我が国ではかつて「松島」と呼ばれ、韓国の鬱陵島が「竹島」や「磯竹島」と呼ばれていた。我が国がこれらの島々を区別していたことは、長久保赤水の「改正日本輿地路程全図」(1779年初版)などから明らかであり、その資料も多数存在している。

1618年には、鳥取藩米子の町人・大谷甚吉と村川市兵衛が藩主を通じて幕府から鬱陵島(当時の日本名「竹島」)への渡海免許を受けた。これ以降、両家は葵の紋の船印で鬱陵島に渡海し、アワビ漁やアシカ猟を行って将軍家への献上もなされた。

鬱陵島への渡海にあたっては、竹島を途中の停泊地として利用し、アワビ漁やアシカ猟も行われた。こうして我が国は、江戸時代初期にあたる1600年代半ばまでに竹島の領有権を確立した。

さらに、竹島においてアシカの捕獲が明治30年代(1900年代初期)に本格的に行われるようになり、島根県隠岐島民の中井養三郎は捕獲事業の安定を図るため、明治37(1904)年、日本政府に対しての領土編入及び10年間の貸し下げを願い出た。

これを受け、政府は島根県の意見を聴取した上で1905(明治38)年1月に閣議決定で竹島を「隠岐島司ノ所管」と定め、島根県知事は1905(明治38)年2月22日、竹島が隠岐島司の所管となった旨を告示した。このように竹島は、日韓併合以前、日露戦争終結以前に平穏に領土編入の確定が行われたのである。

韓国が一方的に設定した「李承晩ライン」

竹島が我が国固有の領土であることは歴史上明白であるのだが、先の大戦後の昭和27(1952)年に李承晩韓国大統領が、いわゆる「李承晩ライン」を国際法に反して一方的に設定し、ライン内側の漁業管轄権を主張。そのライン内に竹島を取り込んだ。

同年7月には、不法漁業を行っていた韓国漁民に対し竹島から退去するよう求めた海上保安庁の巡視船が、韓国官憲によって銃撃されるという事件が発生した。

なお、日本は昭和26(1951)年9月に署名されたサンフランシスコ平和条約において、朝鮮の独立を承認し朝鮮の領有を放棄したが、竹島は含まれていない。条約の草案起草時に韓国は「竹島」の領有放棄を求めたが、米国は日本固有の領土だとして韓国の主張を否定し、条約には盛り込まれなかった。

さらに、「李承晩ライン」設定後の1954年に韓国を訪問したヴァン・フリート米国特命大使の帰国報告にも、「竹島は日本の領土であり、サンフランシスコ平和条約で放棄した地域には含まれないというのが米国の結論である」と記されている。

その後、昭和29(1954)年6月に韓国は韓国沿岸警備隊の駐留部隊を竹島に派遣したことを発表。同年8月には、竹島周辺を航行中の海上保安庁巡視船が竹島から銃撃され、韓国の警備隊が竹島に駐留していることが確認された。

我が国はこのような韓国による竹島不法占拠問題の解決を図るため、同年9月に、竹島に関する紛争を国際司法裁判所(ICJ)に付託することを韓国に提案したが、韓国は拒否した。その後も2度にわたりICJに付託することを提案したが韓国はこれを受け入れようとしなかった。

これらICJへの付託は、実は米国も韓国に対して勧めていた。1954年に韓国を訪問したヴァン・フリート大使の帰国報告には、「米国は、竹島は日本領であると考えているが、本件をICJに付託するのが適当であるとの立場であり、この提案を韓国に非公式に行った」との記録が残されている。

関連する投稿


改正入管法で、不法滞在者を大幅に減らす!|和田政宗

改正入管法で、不法滞在者を大幅に減らす!|和田政宗

参院法務委員会筆頭理事として、改正入管法の早期施行を法務省に働きかけてきた。しかしながら、改正入管法成立前から私に対する事実無根の攻撃が始まった――。


硫黄島をはじめ多くのご英霊の力で、今の日本がある|和田政宗

硫黄島をはじめ多くのご英霊の力で、今の日本がある|和田政宗

先の大戦有数の大激戦である硫黄島の戦いで、日米両軍合わせて2万9千人が亡くなった。今回の訪問で、硫黄島で戦った方々がどのような状況で、どのような思いで戦ったのかを、まざまざと知ることができた。


「もしトラ」ではなく「トランプ大統領復帰」に備えよ!|和田政宗

「もしトラ」ではなく「トランプ大統領復帰」に備えよ!|和田政宗

トランプ前大統領の〝盟友〟、安倍晋三元総理大臣はもういない。「トランプ大統領復帰」で日本は、東アジアは、ウクライナは、中東は、どうなるのか?


いきなり示された自民党改革案 このままでは承服できない!|和田政宗

いきなり示された自民党改革案 このままでは承服できない!|和田政宗

3月6日、党改革案がいきなり示された――。自民党はすでに国民の信頼を失っており、党運動方針案に示したように「解体的出直し」をしなければ生き残れない。


災害から命を守るために憲法改正が必要だ|和田政宗

災害から命を守るために憲法改正が必要だ|和田政宗

私は、東日本大震災の津波で救えなかった命への後悔から、その後、大学院で津波避難についての修士論文をまとめた。国会議員に立候補したのも震災復興を成し遂げるという意志からであった。だが、災害などの緊急時に対応できる憲法に現行憲法はなっていない――。


最新の投稿


【読書亡羊】出会い系アプリの利用データが中国の諜報活動を有利にする理由とは  『トラフィッキング・データ――デジタル主権をめぐる米中の攻防』(日本経済新聞出版)

【読書亡羊】出会い系アプリの利用データが中国の諜報活動を有利にする理由とは 『トラフィッキング・データ――デジタル主権をめぐる米中の攻防』(日本経済新聞出版)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


【今週のサンモニ】岸田総理訪米を巡るアクロバティックな論点逃避|藤原かずえ

【今週のサンモニ】岸田総理訪米を巡るアクロバティックな論点逃避|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


わが日本保守党|広沢一郎(日本保守党事務局次長)

わが日本保守党|広沢一郎(日本保守党事務局次長)

昨今の政治状況が多くの日本人の心に危機感を抱かせ、「保守」の気持ちが高まっている。いま行動しなければ日本は失われた50年になってしまう。日本を豊かに、強くするため――縁の下の力持ち、日本保守党事務局次長、広沢一郎氏がはじめて綴った秘話。


改正入管法で、不法滞在者を大幅に減らす!|和田政宗

改正入管法で、不法滞在者を大幅に減らす!|和田政宗

参院法務委員会筆頭理事として、改正入管法の早期施行を法務省に働きかけてきた。しかしながら、改正入管法成立前から私に対する事実無根の攻撃が始まった――。


【今週のサンモニ】新生「サンモニ」はやっぱりいつも通り|藤原かずえ

【今週のサンモニ】新生「サンモニ」はやっぱりいつも通り|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。