朝日社説の特大ブーメラン
雨にたたられて順延された第103回全国高校野球選手権で、次々と新型コロナ陽性者が出ている。
まず15日に東北学園(宮城県代表)で1人が陽性と判明。選手2人、練習補助員1人、それにチームと大会本部との調整などを担当する朝日新聞の担当記者1人が濃厚接触者とされた。
ついで16日。今度は宮崎商業(宮崎県代表)で5人の陽性が確認された。濃厚接触者について、保健所の判断が出るまで5人を含めチームは宿舎の個室で待機。
保健所の判断を待って緊急対策本部の会議を開き、今後の対応を協議するという。
選手たちには気の毒だが、これこそまさにブーメラン。
というのも朝日新聞は、コロナ感染拡大を助長するとして、東京五輪開催を散々、批判しまくった。
5月26日の社説では「夏の東京五輪 中止の決断を首相に求める」とまで書いた。
ところが、前回も書いたが、参加校3600校、参加選手数は、1校70人として2万5200人、東京五輪参加選手1万1092人の倍以上が参加する高校野球について、朝日はすっとぼけたまま、開催。しかも無観客ではなく両校関係者を入れて。
で、改めて朝日新聞の5月26日の社説を読み返し、ちょっと小細工してみた。
〈新型コロナウイルスの感染拡大は止まらず〉〈緊急事態宣言の再延長は避けられない情勢だ。〉
現在と同じ状況だ。
〈この夏に甲子園(東京)で高校野球大会(五輪・パラリンピック)を開くことが理にかなうとはとても思えない。人々の当然の疑問や懸念に向き合おうとせず、突き進む朝日新聞(政府、都)、大会関係者(五輪関係者)らに対する不信と反発は広がるばかりだ。〉(カッコ内は朝日社説の原文、以下同)。
〈人々が活動を制限され困難を強いられるなか、それでも高校野球(五輪)を開く意義はどこにあるのか。〉
朝日は、ぜひ“腑に落ちるよう”説明を
社説子は〈政府、都、組織委に説明するよう重ねて訴えたが、腑に落ちる答えはなかった。〉と書いている。
ならば朝日の社長、あるいは論説委員長に今、高校野球大会を開く〈意義〉とやらを〈腑に落ちるように〉説明していただきたいものだ。
ついでだが、これは朝日に限らなかったが、酷暑の夏に五輪を開催するのもIOC、NBCの都合だと批判された。
では、なぜ、高校野球は酷暑の夏に開催するのか、これについてもぜひ〈腑に落ちるように〉説明していただきたい。
東京五輪が閉幕した後、8月9日の社説もひどかった。
〈この「平和の祭典」が社会に突きつけたものは何か。明らかになった多くのごまかしや飾りをはぎ取った後に何が残り、そこにどんな意義と未来を見いだすことができるのか。〉
そして、
〈国民の健康を「賭け」の対象にすることは許されない。〉と勇ましい。
ならば、もう一度、朝日新聞に問いたい。高校野球選手の健康を「賭け」の対象にすることは許されるのか、と。
コロナ禍だから、五輪はやめろ、自社主催の高校野球はOK。ダブルスタンダードも極まれりだ。
むろん、奮闘している選手を責めているわけではない。出場校の奮闘を祈る。