橋下徹=「お土産の人」
橋下徹氏のことを、私は最近SNS上で「お土産の人」と呼んでいる。命名の由来は、橋下氏の次のツイートにある。
《今の中国は欧米の制裁に負けたというのを最も嫌がる。アヘン戦争の敗北の歴史からの脱却が原動力なんやから。中国をこっちに引き寄せるには、お願いかお土産が先やろ。制裁をちらつかせるのは最後の手段。こんな建前政治は、解決能力なし。ほんまアカン。》(2022年3月15日)
中国へのお願いかお土産が先? 何の話? と思う方もあるだろうから少々説明しよう。
上記のツイートの主題は、いま起きているウクライナ戦争に関することだ。この前日の14日、ロイターがネット上に掲げた「中国、ロシアに兵器供与の意向 米が同盟諸国に通知=米高官」という記事について、橋下氏が思いの丈をつぶやいている。
記事には、米国側が「中国を制裁対象に」とは一切書かれていないが、橋下氏には我々に見えない何かが見えるのか、「中国は欧米の制裁に負けたというのを最も嫌がる」と気色ばんでいる。
ひとつ前のツイートではこうも書いている。
《今のアメリカ・NATOの政治はおかしいで。中国をこっちに引き込まないとウクライナの被害が拡大する。中国に最初から制裁をちらつかせるなんて、学級委員政治の典型。》
学級委員的ではないオレ様は「こう考える」という演出だろうか、「おかしいで」「お土産が先やろ」「ほんまアカン」と、奇妙な関西弁で綴られている。
元大阪市長の橋下氏は関西弁ネイティブではないため、氏が時々使う「わざとらしい関西弁がイヤ」という大阪人は実は意外に多い。その橋下氏は最近、下手な関西弁どころでは済まされない、全国的に酷く嫌がられる発言をメディアで連発しているのだ。
「プーチンだっていつか死ぬんですから」
まず3月3日、フジテレビの情報番組「めざまし8(エイト)」で、ウクライナ出身の政治学者グレンコ・アンドリー氏に、次のように嚙みついてひんしゅくを買った。
「いま、ウクライナは18歳から60歳まで男性を国外退避させないっていうのは、これは違うと思いますよ」
「アンドリーさん、日本で生活してていいでしょう。未来が見えるじゃないですか。あと10年、20年、頑張りましょうよ。もう一回、そこからウクライナを立て直してもいいじゃないですか。プーチンだっていつか死ぬんですから」
橋下氏は、ウクライナの現状を懸命に説明するグレンコ氏の発言に割って入ってまで、「ウクライナ人は皆、国外へ逃げろ」(つまり国土をロシアに明け渡せ)と言う始末。さらに、「プーチンが死ぬまで待てば、ウクライナを再興させられる」と、何の根拠もない無責任な“提案”までしている。
この場面を録画で観て、呆れて言葉もなかった。
何かにつけ、「僕は元政治家」と元職を笠に着てコメントする橋下氏の口癖は「勉強しろ」だが、橋下氏こそ、世界の歴史を勉強し直すべきだ。他国に侵略され取られた国が後年、平和裏に元の民族に返された例がどこにあるのか。民族ごと消された(消されかけている)例なら枚挙に遑がない。
たとえばチベットは、毛沢東の中国共産党によって侵略され、元首ダライ・ラマ14世がインドへ亡命して主権を失ったが、毛沢東の死後半世紀近くが経ったいまも、中共が居座っている。チベット人による再興どころか、中国化が進む一方だ。
他方、「国」まるごとではなかったが、大東亜戦争終結後にソ連によって盗られたわが国の北方領土も、スターリンの死後半世紀以上経ついまも、返還されずじまいである。