少なくとも日本では訪日外国人によって治安がやや悪化している可能性はあります。
ただし、もともとの犯罪率が極めて低いため、その影響は限定的です。これに対して、米国では移民の流入によって治安が良好になっている可能性が高いといえます。
移民に不合理な偏見をもたないように
以上の議論は、治安という一つの面から移民について統計的に分析した結果であり、移民にはメリットもデメリットもあります。
ここで重要なのは、未知の存在である移民に不合理な偏見をもたないことです。人間は、未知なものに対してリスクを過剰評価することが知られています。
これは【プロスペクト理論 prospect theory】と呼ばれ、日本人がコロナを過剰に恐れたのもこの思考が原因と考えられます。

現在日本では、労働力不足の解消にあたって移民政策が議論されています。この議論においては、根拠不明の偏見を捨てて、統計に基づき、冷静かつ慎重に政策を確認・修正しながら判断していくことが重要です。
思考停止した安易な【排外主義 nativism】や【コスモポリタニズム=世界市民主義 cosmopolitanism】には騙されないことです。