藪中三十二氏:こんな法案を作って、あたかも大学を、学問の自由を敵視するような印象を受ける。ちょっと懸念する。
大学の教員にとっての学術会議は、学問の自由を制限する監視団体であり、その組織が脆弱化することに反対する理由もないはずです。
安田菜津紀氏:80年前の戦争から問いかけられていることって何だろうなと考えた時に、研究に限らず、国にとって役立つものこそ素晴らしいという価値観の下で、社会が硬直化して行くことの怖さだ。だからこそ学術って、時には国家権力にとって耳の痛いことを発するとか、あるいは気づかれない社会の歪みに対して警鐘を鳴らしていくことが時に求められていく。
歴史的に見ても、権力が社会を支配しようとする手段として真っ先に手を伸べるのが、知識層だったり、学術だったり、それを排除したり、手中に収めようとしてきたことを考えると、これはけっして学術研究に携わる人たちだけの問題ではなく、社会の根幹を揺るがす問題として捉えなければならない。
このような考えは軍国主義の専制支配者の存在を前提とするものですが、現在の日本の国家権力は国民が統治する民主主義政府です。その政府が軍国主義に走ることには何のメリットもありません。
むしろ懸念されるのは、日本学術会議という権限を使って民主主義政府を支配しようとする私人の存在に他なりません。
2015年、現実世界において安全保障の大前提となっている集団的自衛権に対し、学術界のエリートはヒステリックな組織的反対運動を展開しました。NATOに加盟できずに侵略されたウクライナの現状を見れば、その反対運動がいかに浅はかであったかが証明されたといえます。
安倍晋三政権が国会に提出した「国際平和支援法」と10本の戦争関連法を改悪する「平和安全法制整備法案」に反対するアピールを、学者・研究者が連名で発表しました。