廃車を動かすほどのパワー
力で蕎麦を見つめる木庭さん
先日まで映像劇団テンアンツの舞台に出演していた。テンアンツの舞台には3度目の出演だが、今回初めて力の木庭さんと一緒になった。そもそもテンアンツとの出会いは力の木庭さんなのだ。
約25年前、俳優の菅田俊さんが監督のドラマに出演した。菅田さんは物凄く怖い顔をしているのに仮面ライダーZX(仮面ライダー10号)に変身するヒーロー役もやっていて、変身前の役者唯一のパンチパーマでもあった。パンチパーマ仮面ライダーは敵側の役者さんより怖い顔だった。SNS時代の現在だったら確実に”パンチパーマ仮面ライダー“がXのトレンドに上がったと思う。
そんな怖い顔の菅田さんの撮影現場にいたのが力の木庭さんこと木庭博光さんだった。なぜ“力の木庭さん”と呼ぶかというとパワー型のプロレスラーのような体型をしているからだ。胸板も腕も太く、肩も盛り上がっている。何の為にこんなに筋肉を付けているのだろうと初対面の時から不思議でしょうがなかった。
そんな体をしていたので、ロケ地で邪魔な岩や丸太や電車のレールやパンクしている廃車があると、力の木庭さんがそれらを持ち上げて移動させていた。
撮影ロケ中、木庭さんはとても親切にしてくれた。富士の樹海で撮影が終わると自身の撮影はまだ終わってないのに車で自宅まで送ってくれたりした。この日以来、力の木庭さんに会っていなかったので、いつかまた会いたい、お礼をしたいという気持ちがあった。
自分の所には毎週色んな人から舞台のお知らせが送られてくる。毎度毎度返信に困ってしまいついつい既読スルーしてしまう場合も多いのだが、ある時送られて来たフライヤーがどれも同じ舞台のお知らせだった。「おいおい送って来るモノが全て同じじゃないか!しかも地元下北沢。これは行かないといけないな」と独り言を言いつつもう一度出演者を見ると、そこに力の木庭さんの名前があった。
力というものへの憧れ
そんな事もあり、観に行った舞台がテンアンツだった。観劇により力の木庭さんと再会。20年以上経っていたけど、身体のごつさは健在だ。
「この人はなんの為にこんな体をしているのだろう?」
その時もそう思ったが、その後ドラマ『焼肉プロレス』に覆面レスラー役でレギュラー出演しているのを観て「この為にごつい体にしていたのか!」と理解出来た。
力の木庭さんはその後もテンアンツ舞台に出演したので、下北沢稽古の時にランチを食べたりした。この時すでに自分はプロレスデビューしていたので、自分の団体に誘ったのだ。最初は「いやいやいや」と断っていたが、絶対に「やりません」とか「嫌です」と言わなかったので、この人はやるなって感じた。
案の定、ベストボディ―ジャパンプロレスでデビューする事になり、プロレスラー木庭博光が誕生した。デビュー当時の年齢が58歳!プロレスって58歳から始める競技じゃないからね!! 来年3月には60歳になるから本当に凄いよ。
プロレスの道場での練習でも力を発揮する。ストレッチやマット運動を最初に行うのだが、それら全てを力でこなす。前屈、前転、後転、これら全て力でやる。力でやる事じゃないからね、普通は。
その後、舞台でも一緒になったので力の木庭さんを観察するようにしたら、何事も力でやっているようにしか見えない。力でセリフを覚え、力で衣装に着替え、力で差し入れのお菓子を食べ、力であくびをし、力でアロマの香りを嗅ぎ、力でリラックスする、そんな人だった。
同じ団体でプロレスをやっていると、力というものに憧れを感じる。自分にもっともっと力があったら、そういった考えは常に頭の中にある。自分に出来る事は、スポーツジムで筋トレする事とスーパーヒーローが登場する映画を観て現実逃避する事くらいしかない。
というわけで今回はスーパーヒーロー作品グッズをご紹介。スーパーヒーロー作品と言えば、マーベル作品が人気なので今回はそれで。