青木理氏も降板しては……?
安田菜津紀氏:紛争の問題を抱える国・地域に出向いて現地の方に言われたことがある。「たとえば私たちがあなたを受け入れるのは日本が私たちを直接攻撃したことがないからだ」「日本製の武器が自分たちに向けられたことがないから」という言葉をいただいたことがある。
その信頼をわざわざ今、壊す方向に舵を切っている。これから第三国に輸出されようとしているのは戦闘機だ。「直接は紛争地に送らないから歯止めをかけたんだ」というのはハッキリ言って詭弁でしかない。
人命をこれだけ左右する問題を国会の議論も経ずに決めていくのは民主主義も人の命も軽視していると言わざるを得ない。そこで得られた利益で潤う社会というのは一部で言われているいわゆる「美しい国」なんだろうかということだ。
今求められているのは偽物の美しさではなくて、本物の公正さを私たちは目指していかなければならない。
美徳を振りかざして相手に不合理な罪悪感を持たせて不相応な要求をする手法を【感情的恐喝 emotional blackmail】と言います。
安田氏の上記コメントは、そのほとんどが感情的恐喝で構成されています。日本の防衛装備品の輸出が可能な国は、国連憲章の目的と原則に適合した使用を義務付ける国際約束の締約国である米・英・仏・独・伊・スウェーデン・豪・印・シンガポール・フィリピン・インドネシア・マレーシア・ベトナム・タイ・UAEの15か国です。
ルールに則って平和を希求する国々に防衛装備品を輸出することは、罪のない市民の命を守る安全保障と安全確保の向上に寄与するものであり、特に専制覇権国の脅威に晒されているアジア太平洋諸国からは信頼を得ることができるはずです。紛争地に防衛装備品を送らないというのもけっして詭弁ではありません。
青木理氏:三木内閣は防衛予算GDP1%内、武器輸出3原則を決めた。当時も国際情勢は厳しかった。ベトナム戦争もあり、冷戦真っ盛りだった。中東でもたびたび戦争が起きていた。宮澤喜一氏が外務大臣だった。
「日本のような平和主義を掲げる国は残念ながら世界には珍しいのが現実だ。但し、これがいつか拡がって行って欲しい。そうすれば争いは無くなる。日本は武器を輸出して稼ぐほど落ちぶれてはいない」と国会答弁している。
それを考えると、皮肉を込めて言えば、日本はここまで落ちぶれたのかと。戦闘機は殺傷兵器だ。理想を掲げて、それをきちんと口に出して、多くの人達に「国はこういうふうに向かうべきじゃないか」と示しながら多くの人を頷かせる政治家がかつてはいた。
今、そういう政治家いますかというところに政治の貧困が現れている。
警察の拳銃は殺傷兵器ですが、市民を暴漢から守る重要な道具となっています。物は使いようであり、信用できる国に防衛装備品を輸出することは積極的平和主義に寄与します。
安倍総理はこの積極的平和主義の理想を掲げた「地球儀を俯瞰する外交」で多くの人を頷かせました。当時の外務大臣であった岸田首相がこれに加えて「核なき世界」という理想を掲げていることは世界の首脳が知るところです。
なお、ちょうどよい機会なので言わせていただければ、的を射ない個人の認識しか語らない青木氏のコメントはほとんど無意味です。関口氏の卒業に合わせて降板した方が視聴者の利益になると考えます。