【藁焼きかつおたたきの漬け丼】二膳軽くいけます
伊豆の育ちなので鰹にはうるさいつもりだ。
しかし今、東京の自宅で食べることは殆どない。思ったような味に容易に出合えないからである。
伊豆の実家では、水揚げされたばかりの鰹が、餉の膳に載ることも珍しくなかった。刺身やタタキはもちろん美味だったが、子供の私にとっては、翌朝、前の晩の刺身やタタキがアメ色の「漬け」となって出てくることのほうが楽しみだった。それを炊きたてのご飯に載せて頬張る瞬間はまさに至福だった。
あの喜びをまさかこんなに手軽に味わえるとは……。
「藁焼きかつおたたきの漬け丼」は冷凍で届く。解凍に難しいことは何も要らない。
パックを流水に浸して五分で上手に解ける。脂ののったカツオのタタキが、ご飯に載せることを想定してだろう、やや薄めにスライスされ、そこに甘めのタレがたっぷりと絡んでいる。
最初の一口は薬味無しがおすすめだ。
濃厚だが、後味のすっきりしたタレと鰹の旨味、ご飯がうまいこと口中で溶け合う。その後は好みの薬味でいただく。
ダイエットを忘れて二膳軽く平らげた。
ジャーナリスト。1962年生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌編集長、上場企業の広報担当を経験したのち独立。現在は編集・企画会社を経営するかたわら、世界中を取材し、チベット・ウイグル問題、日中関係、日本の国内政治をテーマに執筆。ネットメディア「真相深入り! 虎ノ門ニュース」、ニッポン放送「飯田浩二のOK! Cozy Up」レギュラーコメンテーター。著書に、『「小池劇場」が日本を滅ぼす」(幻冬舎)、『リベラルの中国認識が日本を滅ぼす―日中関係とプロパガンダ』(石平氏と共著、産経新聞出版)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』(百田尚樹氏と共著、産経新聞出版)、『「日本国紀」の天皇論 』(百田尚樹氏と共著、産経新聞出版)など。