原発事故の事故処理に多額の費用が必要なのは事実です。
しかしながら、そのことをもって安全性が格段に高まり過酷事故のリスクが大きく減少した原発の運用コストに組み入れることに合理性はありません。あくまでも将来のコストは、現時点でのリスク評価に基づき算定する必要があります。
原発の発電コストは、政策経費ありの場合でも12.6円/kWhであり、最も安い火力発電の19.1円/kWhと原発の1.5倍です。火力発電の年間発電量は約7000億kWhなので、単純にその1/3を原発で置き換えれば単純計算で年間1兆円のコストダウンになります。電力需要は今後大きく伸びることが予測され、化石燃料の利用が制限されることも十分に予測されます。
この場合、原発依存度を高めて化石燃料をカットする方策を取れば、少なくとも年間3兆円のコストダウンになり、コストダウンの額は需要の伸びに比例することになります。
ちなみに、太陽光発電や風力発電などの変動性再エネは、それ自体の発電コストは低いものの稼働率が低く、バックアップ電源としてその数倍の火力発電が必要となるため、システムとしてはほぼ火力発電と同様のコストが必要になります。

なお原発は、経済性の他、環境性と安全性の観点においても、火力発電をバックアップ電源として必要な変動性再エネよりも大きく優れています。以上については『月刊Hanada』2025年3月号に詳述しています。

再エネ最大活用で日本は持続不可能社会に|藤原かずえ【2025年3月号】
https://hanada-plus.shop/products/845・エネルギー計画の落とし穴・「手段の目的化」そのもの・再エネ、経済性の噓・火力発電廃止で価格暴騰・CO₂排出量のレトリック・環境先進国ドイツの実態・現実的ではない蓄電量・再エネの安全性は高くない ページ数:12ページ(PDF)掲載号:月刊Hanada2025年3月号 ※商品の特性上、購入確定後のキャンセル・交換・返品(返金)はお受けできません。