斎藤氏を「極悪非道の強権支配者」と決めつけて
2024年11月24日の『サンデーモーニング』は、定番のトランプ批判&自民党批判コーナーで始まり、今話題の斎藤元彦兵庫県知事をめぐる「報道問題」を報じました。
以下、詳しく見ていきます。
アナウンサー:失職から一転、返り咲きを決めた兵庫県の斎藤知事、厳しい選挙戦と見られていましたが、大逆転の背景にあったのはSNSでした。火曜日一か月半ぶりに兵庫県庁に戻った斎藤知事、出迎えたのは職員よりも支持者の姿が目立ちました。そもそも出直し選挙に至るきっかけはパワハラの告発でした。職員のアンケート調査では、パワハラを見聞きしたという回答が4割。こうした状況を見て設置された百条委員会で斎藤知事は…
斎藤元彦知事(VTR):自分が行った行為で不快に思われた人がいるなら本当にお詫びをしたい。
アナウンサー:一方でパワハラを告発した職員を探し出し、懲戒処分にした対応については問題ないと主張、百条委員会での実態解明が続く中、県議会では全会一致で不信任が可決され、失職していたのです。
7月、新聞・テレビ・週刊誌は一色に染まって斎藤氏を本格的に叩き始めました。職員へのパワハラの証言、贈答品をめぐる「おねだり」の証言、公益通報を棄却した上での元県幹部に対する懲戒処分、「死をもって抗議する」旨のメッセージを残した元幹部の自殺、死者に鞭打つ斎藤氏による「嘘八百」発言といった諸事に基づき、斎藤氏を極悪非道の強権支配者と決めつけて断罪したのです。
『サンデーモーニング』も例外ではありませんでした。
特にテレビのワイドショーは、例の如く毎日のように斎藤氏を叩き続けました。この報道を通して大衆は、想起しやすい目立つ情報を重視して判断する【利用可能性ヒューリスティック availability heuristic】と繰り返し与えられる情報を重視して判断する【単純接触効果 mere exposure effect】という認知バイアスの影響を受けて、斎藤氏に対して強い嫌悪の印象をもつに至ったと考えられます。
しかしながら、この強権支配者という表象は、あくまでも事実の一方的な解釈に基づく蓋然的な推測に過ぎず、立証責任を果たしたものではありませんでした。
斎藤氏の失職に伴う県知事選は、無所属新人で元尼崎市長の稲村和美氏が圧倒的に優勢な形で始まり、再選を目指して立候補した斎藤氏は大きく引き離されていました。しかしながら、選挙戦に入ると情勢がドラスティックに変化しました。