テレビ報道の狡猾な騙し
寺島実郎氏:裏金事件の本質は何か、日本人としてよく考える必要がある。つまり、なぜ政権中枢の派閥にキックバックができるほどのカネが集まったのかという構造の問題だ。つまりアベ政治とかアベノミクスというのは、まるで蟻が蜜に群がるように権力への過剰同調を招いたんじゃないか。
この問題の本質は、寺島氏が言うような「パーティー券で収入を得たこと」ではなく、「パーティー券収入のうち一部を収支報告書に記載しなかったこと」です。この未記載分の収支が不明となるので政治資金の不正利用が理論上可能になるのです。
その本質を理解していないのか、寺島氏は政治資金の量を問題視しています。その不記載額の大きさも250億円ほどの年間収入がある自民党にとっては1%にも満たない額であり、「権力の過剰同調」と断罪するのは極めて非論理的です。
浜田敬子氏:VTRで萩生田氏が発言した会合があったが、笑い声が起きていた。本当に緊張感がない。内閣支持率を見ると、岸田政権は過去最低になっているが、国民のその怒りとか問題に対する危機意識と自民党はずれているのではないか。政治改革をしていく気持ちは政治の中にあるのかというと、30年前の政治改革の時のような、若手が声を上げるとか、そういった声が聞こえてこない。
視聴者の感情を害する一瞬の笑い声を制作映像にわざわざ取り込むことによってスケープゴートに悪党の印象を植え付けた上でコメンテーターに人格を非難させるというのは、『サンデーモーニング』お得意の印象操作です。
このような伏線的な他愛もない出来事で問題の論点を巧みに変更する手法は、魔女裁判に多用される狡猾な騙しであり、テレビ報道の危険な一面と言えます。一瞬の笑いが起きた要因は不明ですが、そのことで自民党の危機意識がずれていると決めつけて非難するのは軽率すぎる概括です。