SNSなどのインターネットサービスには、その閲覧履歴と検索履歴からネットユーザーが好む情報を優先して与える一方で好まない情報を後回しにするというフィルタリング機能が搭載されています。
この結果として、各ユーザーは、自分が好まない情報から隔離された閉鎖的空間(バブル)の中に受動的に閉じ込められ、偏った信念をもつように誘導されます。これが【フィルターバブルfilter bubble】という現象です。
しかしながら、現在においては、フィルターバブルに必ずしも深刻な危険性があるわけではありません。というのも、最近のインターネットサービスのアルゴリズムは、多様性を同時に重視しており、好む情報とは視点が異なる情報にも接触できるように設計されているからです。
そもそもフィルターバブルは、受動的な閉鎖的空間であり、抜け出すのも容易です。
その一方で、深刻なのは、自分と同じ信念のみが飛び交う閉鎖的空間(チェンバー)の中に能動的に入り込み、その偏った信念をさらに強化する【エコーチェンバー echo chamber】という現象です。
基本的にこの閉鎖的空間内では特定の信念のみ存在するので、【集団同調性バイアス majority synching bias】の作用によりメンバーの信念は画一化されていきます。ここに自己批判精神に欠けた仲良しグループが形成されるのです。信念の強化が進行すると、異論を排除するようになり、異論の論者を攻撃するようになります。
このエコーチェンバーは、インターネット空間のみに存在するのではなく、現実の空間にも存在します。そのもっとも端的な例が、『news23』『報道特集』『サンデーモーニング』といった偏った左翼系の報道番組のみを能動的に視聴している人々が形成するエコーチェンバーです。
このエコーチェンバーは、SNSのエコーチェンバーと比較して遥かに規模が大きいのが特徴です。日本最大のエコーチェンバーかもしれません。
これらの番組では、扱う話題や出演者の論調が画一的であり、一部を除きほぼ異論を認めません。護憲・反基地・反米・反原発・親再エネといった確固たる信念があり、攻撃する相手も、自民党保守派・トランプ氏など常に同一です。
反対側の視点、自分とは違う視点、零れ落ちる声を拾い上げるバランス感覚はゼロです。そして、このエコーチェンバーの中心にいるのが、『news23』『報道特集』『サンデーモーニング』で司会を務めてきた膳場氏に他なりません(笑)。
例えば、これら3つの番組は、辺野古転覆事故をほとんど報じません。事故が発生した3月16日から5月10日までのこの事故に関する報道時間の総合計は、『news23』が約15分、『報道特集』が0分、『サンデーモーニング』が約2分にとどまっています。過去に辺野古基地移設を何度も繰り返し取り上げて厳しく批判してきたこれら3つの番組が、基地反対派に不都合な事故については報道しない自由を行使しているのは、大きな欺瞞と言えます。まさにエコーチェンバーのなせる業です。
反政府活動家に忖度する日本メディア
寺島実郎氏:本当に怖いのはメディアの側の自主規制、権力に対する忖度でね。なるべくトラブルを起こしたくないという形で。実は米国より日本の方が僕は本当に深刻だと思うのは、米国はまだ復元力があるというか多様性を大事にする人達がいる。(中略)
日本のメディアも進行している現象をただ伝えるだけでなく、大事なのは根拠のある数字の裏付けがある報道番組だ。
確固たる証拠ではなく疑惑を根拠にして政府を叩いている日本メディアには権力に対する忖度など微塵もありません。
その一方で、日本メディアは反政府活動家に忖度していて、彼らの不都合な事実に対して徹底的に自主規制を引き、報道しない自由を行使します。辺野古転覆事故の報道がその典型例であり、メディアとして機能しているのは、産経新聞のみです。恐ろしいことです。
安田菜津紀氏:日本を翻って見てみると、かつて電波停止という、テレビ局の電波停止という可能性にまで言及した当時の総務大臣が、今日本の首相になっている。そうした政治家のSNS発信を横流しすることがメディアの役割ではない。
どれだけ情報発信の環境が変化しようとも批判することを臆さない原点にどれほど立ち戻って来られるかが、ますます問われてくる。


