「裏金」問題はもう終わっている
2024年9月15日の『サンデーモーニング』のトップニュースは、今週もまた政治資金不記載問題を理由にした自民党総裁選挙に対する非難でした。
アナウンサー:事実上、次の総理大臣を決める自民党の総裁選は木曜日告示されましたが、裏金で失われた党への信頼回復は進むのでしょうか。9人の候補者たちは裏金問題にどう向き合うのか。信頼の回復を目指す掛け声は聴かれますが、具体策となると、河野氏と加藤氏が裏金相当額の返納を主張している程度、裏金問題の実態解明には各候補とも慎重な姿勢です。
安田菜津紀氏:総裁選を前にして、急に政治とカネの問題について、「政策活動費を廃止します」とか「領収書の公開を前倒しします」とアピールしている候補者がいるが、それは法改正前に言えたはずのことであって、よくこういう盛大な後出しジャンケンが平気で出来るなと呆れる気持ちを持つ。
それにさらに輪を変えて悪質なのは候補者を担ぎ上げながら「裏金の問題なんか終わったことだ」「批判するな」と開き直っているような議員だと思う。そんなに簡単に煙にまいたつもりになったら困るということを、選挙などを見据えて言い続けなければならない。
『サンデーモーニング』はしつこく政治資金不記載問題に言及し、この問題が自民党総裁選のメインテーマであるかのように取り上げています。
しかしながら、そもそもこの問題は、議員が合法的に集めたパーティー収入の一部が慣行的に議員に還付されてきたものが、政治資金報告書に不記載となっていた事案であり、「裏金」という表現が必ずしも適正であるとは言えません。
問題は、この不記載に違法性の可能性があることを立場上知り得た一部の幹部がこの状況を改善しなかったことであり、多くの議員には違法性の認識はなかったと言えます。つまり、多くの議員の基本認識は、努力して合法的に集めたパーティー収入が還付されたというものであり、意図的に「裏金」を作ったという認識ではありませんでした。
このような状況のなかで検察が捜査を行ない、違法性を知り得たにもかかわらず改善を怠った自民党の政策集団である清和会・志帥会・宏池会の会見責任者や秘書と共謀して還流を受けた議員を起訴しました。また、自民党も独自に調査を行い、その意図の存在や責任の大きさに応じて、離党勧告・党員資格停止・党役職停止・戒告の処分を行いました。
つまり、この問題は既に一定の基準によって処分が行われており、これ以上問題視することに合理性はないと考えられます。