本当に番組が愚かなのは、わざわざ野球の練習にストーカーのようにつきまとい、どうでもいい発言を聞いては報じたことです。番組にとって、小泉進次郎氏は政治家ではなく、タレントに過ぎないのです。
このような報道こそが選挙を人気投票にしている元凶です。
「石破氏とともに突出した人気」という世論調査結果についても何の説得力もありません。石破氏や小泉氏の政策をよく知っているとも思えない一般市民に対して「総理に相応しいか」を聞いても合理的な評価ができるわけがありません。
このような不合理なテレビ番組こそが、日本の政治を歪めて堕落させているのです。
政治家が高齢者のご機嫌を取る
アナウンサー:一方で、こうした調査では下位の議員らも次々と名乗りを上げています。
林芳正氏:♪もう一度取り戻そう僕たちのヤマトスピリッツ…
アナウンサー:議員仲間とのバンド活動でオリジナル曲を披露しているのは、林官房長官。大臣経験の数では、他の追随を許さない実力者ですが、知名度は上がりません。同じく、支持率で苦しんでいるのは…「としみつ」と書かれた団扇を手にした支援者を前にお好み焼きを作るのは、茂木敏充幹事長。
茂木敏充氏:最近、若手から「意外とトシミツ」と言われる。料理もソコソコです。意外と。重要閣僚を歴任した実力者ですが、親しみやすさのアピールには苦労している様子。
政策はほとんど報じないのに、候補者のバンド活動やお好み焼き作りを報じる本末転倒の『サンデーモーニング』こそ、騙されやすい高齢者を中心とする一部の情報弱者の感情を操作し、選挙を話題性や風貌を判断材料とする単なる人気投票にしている元凶です。
大票田である高齢者の視聴率が高く、その世論形成に強い影響を与えると考えられる『サンデーモーニング』の威力は、依然として侮ることはできません。ここに政治家が高齢者のご機嫌を取るシルバー民主主義が成立するのです。
事実、今回の自民党の総裁選においても、高齢者医療費の負担増に言及しているのは、今のところ河野太郎氏のみです。
このようなシルバー民主主義が、世代間格差をもたらし、日本の現役世代を絶望させてその意欲を削いでいることは明白です。
アナウンサー:そんな状況の起死回生を狙ったのか、出馬会見で掲げた政策が党内でも物議をかもしています。
茂木敏充氏:防衛増税、子育て支援金の保険料の追加負担、それぞれ1兆円は停止。この意味で増税ゼロの政策の推進。
アナウンサー:防衛費倍増や子育て支援は岸田政権肝いりの子育て政策。その財源として決まっていた増税などの方針を幹事長自ら覆すというのです。政策そのものは踏襲し、税収増で財源を賄うと言いますが、党内からも厳しい声が…
閣僚経験者:総理を支えてきた幹事長という立場であの発言はあり得ない。
アナウンサー:最大で12人が乱立する総裁選、ようやく政策論争も始まりましたが、選挙目当てで迷走しかねないものもありそうです。