拡大抑止は、核不拡散を守りつつ日本が実質的に核装備するものです。この核装備は「あってはならない」ものではありません。核抑止のための平和目的の核装備であるからです。
覇権国家が保有する核は多量であるため、その攻撃を完全に無力化することで攻撃を諦めさせる【拒否的抑止】は、現在の技術レベルでは不可能です。したがって平和国家が国民の生命を守るには、核攻撃すると核攻撃されることで攻撃を諦めさせる【懲罰的抑止】に頼らざるを得ません。
国際社会に法的強制力がない現状において、侵略を憲法で禁止する日本のような平和国家にこそ核装備は必要です。平和国家にとっての核装備は、警察が拳銃を所持するのと同様、自衛のための必要悪なのです。
これを「あってはならない」とする先験的価値観こそ、先験的にあってはなりません。なぜなら人間という知的生命体の存在意義である生存権こそ、最も優先される基本的人権であるからです。
サヘル・ローズ氏:終戦から79年という数字を見るたびに、これがどんどん過去の出来事みたいになってもらいたくない。どうしても広島と長崎だけが問題提起をし続けていて、どんどんそれが切り離されていく。そうではなくて、日本に限らず世界中で、核があることで何が起きてしまうのか。当事者を目の前にして今のような発言ができるのかどうか。当事者が被爆者の方々がどういった現状を見てどういった光景だったのか。世界が分断して行く中で戦いではなく、もっと人と人が共存できる方法は、日本が持つ憲法第九条、私はこれがある限り、日本がまだ担えること、唱えられる平和があると思う。
現在の世界において、覇権国家に戦争への罪悪感を持たせれば戦争はなくなると根拠なく信じるサヘル・ローズ氏のような憲法九条信者こそ、覇権国家に与して平和国家の国民の生命に危機を及ぼす元凶です。
極めて理不尽なのは、このような憲法九条信者の多くは、覇権国家に対して武器を捨てるよう説教することはなく、平和を愛する日本国民だけに丸腰になるよう説教することです。これでは、承認欲求を満たすだけの自己呈示に過ぎません。
【今週のサンモニ】中共に空想的平和主義は無力だとおわかりですか?|藤原かずえ | Hanadaプラス
https://hanada-plus.jp/articles/1526『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。