農園「はなあふ」の猫|瀬戸内みなみ

農園「はなあふ」の猫|瀬戸内みなみ

瀬戸内みなみの「猫は友だち」 第7回


農地に過剰な負荷をかけないように、多くの品目を少しずつ作る。農薬や化学肥料を使わない、自然農法による栽培を目指す。キヌサヤにキュウリ、ナス、小松菜にほうれん草、色とりどりのダイコンやニンジン……。四季を通じて栽培される「はなあふ」のいろんな野菜は、どれもしっかりとしていて味が濃い。農園には田んぼもあって、こだわりのお米を育てている。

「野菜の苗を育てているハウスに水やりするときには、モカを連れて行くこともあります。畑の周りに生えている草を食べたりして嬉しそうなんです」

森さんもまた嬉しそうだ。

ほとんど家のなかにいるモカだが、どうやら猫として不思議な力を持っているらしい。

「ホームページに載せているモカの写真を見て、遠く関東や新潟の方から野菜の注文をいただくこともあります。直接会ったこともないのに、猫のおもちゃやフードを送ってくださる方もいる。うちの農園で働く研修生もみんな、モカと触れ合うと猫が大好きになってしまうんですよ。

モカは特別な猫なんです」

ご近所さんも猫好きが多い。特にお向かいの牛農家では、藁のなかで猫たちがぬくぬくと暮らし、ネズミ退治という本来の使命を果たしている。「はなあふ」に出入りしている外猫も何匹かいるが、モカはおおように迎えているそうだ。

人間も動物も植物もみな、命が穏やかに息づいている山あいの里である。

(初出:月刊『ねこ新聞』2018年5月号)

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