広島県・湯崎英彦元知事(VTR):核抑止ということを強調していくと、エスカレーションもさらに進んでいく。日本が核抑止を強化するというのは、緊張を高める方向に行く。日本をより危険に晒していくだけ。だからこそ、そこに乗らないことがまず第一。対話の糸口というのも常に見つけていく。
人類は既に第二次大戦末期から核抑止を理論化していました。キューバ危機までは米ソが核軍備の拡大を行いましたが、以降は米国が核軍縮を始め、ロシア崩壊後はロシアも核軍縮を始めて現在に至っています。核抑止はエスカレーションを生んでいません。
ただし、現在その均衡を破ろうとしているのが、核軍備を急速に拡大している中国です。そんな中、日本の平和団体は、中国を名指しで非難することなく、むしろ米国の傘の下で必要最小限の核抑止機能のアクティベーションを行っているに過ぎない日本政府を名指しで非難しています。
当然のことながら、核抑止をめぐる日本の政策は、核軍備の拡大に繋がるものではありません。やりたい放題の中国を名指しで非難せずにひたすら核保有国全体と日本を非難する日本の平和団体のスタンスは極めて不可解です。
藻谷氏はさらに続けます。
藻谷浩介氏:結局、ロシアだってイスラエルだって核を持っているけれども、ウクライナのドローン攻撃を受けたり、イスラエルは1年中ミサイル攻撃を受けていますよね。打ち返して核が打てるか、なかなか打てませんよ。核抑止論というのは、やっぱり銃を持っている方が安全だと言っている人と同じで、どこか現実と違う。持ち込んだらキューバ危機になっちゃって持ち出したら終わったでしょ。よく現実から考える必要があると思います。
ロシアがウクライナに核を使わないのは、背景に米国やNATOがいるからであり、このことは核抑止が機能している典型的な事例です。
また、イスラエルがイランに対して核を使わないのは、核の保有を認めない曖昧戦略を取っているイスラエルにとって、核は最終的な切り札であり、現在はまだ核を使用する段階ではないと判断しているためです。
さらに、キューバ危機は、世界の誰もが認めるように、核抑止が機能して全面戦争が回避された事例です。藻谷氏は核抑止の現実から目を背けています。
今回の「風をよむ」も、核抑止をよく理解していない人たちが無理やり核抑止を非難するという『サンデーモーニング』の鉄板の特集でした。『サンデーモーニング』の皆さんが、核の問題で被爆国の日本を非難しても何の解決にもならないことになぜ気が付かないのか、本当に不可解です。
個人ブログ「マスメディア報道のメソドロジー」にて、論理学や心理学の定義に基づいた、メディアの報道・政治家の議論における論理的誤謬などの問題点を指摘。「ひるおび」「報道ステーション」「NEWS23」「サンデーモーニング」などの具体的な放送内容や議員の答弁、記者の発言などを例示しての論理的な分析が話題を呼んでいる。記事の一部を言論プラットフォーム「アゴラ」にも転載中。

