そして、そんなコメントは今年も繰り返されました。
■2026年
膳場貴子氏:いまの憲法というのは米国からの押し付けだという主張がまず出てくるんですけれど、この視点について、加藤さん、どう見てますか。
加藤登紀子氏:ハッキリ言うと、この議論は大きな間違いがある。大きな嘘と言ってもいいかもしれない。というのは、改憲を日本に要求してきたのは米国です。というのは、平和憲法を作った米国の中に、第一次世界大戦の後、不戦条約までしたウィルソン大統領から平和理念を一定程度もっていました。
だけど、よく戦後史を見つめなければいけないのは、朝鮮戦争に踏み切りましたね。そのころから米国は、完全に平和理念の国家体制をかなぐり捨てました。で、その時点で日本に再軍備を要求しているんですよ。日本がサンフランシスコ条約で独立した途端に日米軍事同盟を結んでいるわけですけれど、朝鮮戦争が始まっている中で再軍備を要求してきたのは米国です。それに対して反対した学生は、52年のメイデイに一人死んでいます。
それから60年安保の時には、さらに日本が戦える軍隊をもつべきであるという一語が安保条約改定の中に入っていて、それに対して多くの学生が反対しました。そう言うような状況の中で日本の中にある反戦・反核・反米感情、それをどうやって抑えていくかということが、非常に大きな急務だったと思われます。
で、55年に自民党が日本を取り戻すという名目で結党されたその前の年に何があったかというとビキニの水爆実験。本当に反核・反米・反戦の動きが日本で大きくなるだろうということに対して、どういう対策を取るかということを中曽根氏と米国が話し合っている。これがきっかけになって、日本に原発という手法が取り入れられる。そういう差中に55年に「日本を取り戻す」という文脈で改憲と言われたのも、大きな嘘だと思いますね。
つまり、米国の要求に屈したんですよ。軍備を持ちなさいと。日本は再軍備するべきだという米国の要求に屈した結果としての改憲論なんですね。その改憲を「日本を取り戻す」という文脈で言っていこうというのは政治的まやかしと言ってもいいかもしれない。
是非若い人たちに、この言い方は、非常に政治的なまやかしだと私は思うんです。気をつけなければいけないなと思います。
全く支離滅裂なコメントです。
後に米国から再軍備の要求があったところで、前文と103条で構成される日本国憲法が「米国からの押し付け」であることには変わりはなく、このことは間違いでも嘘でもありません。反戦・反核・反米感情を抑えていくために原発が導入されたというのも意味不明です。
そもそも「米国からの押し付け」か否かを議論する価値はなく、議論する価値があるのは憲法の中身です。「米国からの押し付け」ではないことを理由に改憲を否定するのは不合理です。
いずれにしても、護憲派は、憲法九条を肯定する根拠となっている「日本が戦争をやりたがっている」「丸腰外交で戦争は確実に止められる」という主張を合理的に立証する必要があります。そのことなくして改憲議論に反対するのは、国民の安全に有害です。
個人ブログ「マスメディア報道のメソドロジー」にて、論理学や心理学の定義に基づいた、メディアの報道・政治家の議論における論理的誤謬などの問題点を指摘。「ひるおび」「報道ステーション」「NEWS23」「サンデーモーニング」などの具体的な放送内容や議員の答弁、記者の発言などを例示しての論理的な分析が話題を呼んでいる。記事の一部を言論プラットフォーム「アゴラ」にも転載中。

