リベラルの理論を理解していないリベラル派
2025年1月5日の『サンデーモーニング』は恒例の新春スペシャル、テーマは「戦後80年…すれ違う幸せのかたち」でした。
膳場貴子氏:今年2025年は第二次世界大戦が終わって80年、戦後80年ということになります。この間、私たちの思い描く幸せの形は大きく変わりました。そして立場の違いが、いま世界の各地で分断を生んでいます。
今日の特集は、この3つのキーワード「国のすがた」「居場所」「家族」から、「すれ違う幸せのかたち」を考えていきたいと思います。
小泉構文から始まった新春スペシャルは、膳場貴子氏の米国ロケを含む特別版でした。
■国のすがた
アナウンサー:米国のシンクタンクの調査で「米国が直面している最大の問題とは?」ということについて聞いてみたところ、「インフレ」「医療費の負担」と同じレベルで「共和党・民主党の対立」と回答しているんですね。
ちなみに大統領選の主要な論点を見ますと、共和党が自国ファースト、民主党は多国間の強調。共和党は伝統を重視し、民主党は多様性を尊重すると。人工妊娠中絶に対しては、共和党は否定的だし、民主党は権利を擁護する。気候変動については、気候変動よりは経済活動と答えたのが共和党側、そして民主党は重大な危機なんだと主張しています。
つまり、真っ向から両党の主張もすれ違っているということですね。
膳場貴子氏:保守とリベラルのすれ違いが広まるなか、もうすぐトランプ大統領が返り咲きます。
目加田説子氏:今米国で起きていることの根底には懐古主義がある。つまり昔に戻れば、自分たちは幸せになると。あたかも時計の針を戻すことによって問題は解決するんだと。突き詰めればそういうふうに聞こえる。世の中そんなに単純ではない。何よりももう取り戻せない状況がグローバル化の世界でいっぱい起きている。
懐古主義の弊害って色々あって、一つは、過去を美化したり、正当化してしまうことに繋がる。戦争とか社会的な平等とか歴史に潜む問題点を直視できなくなる。結果としてそこからきちんと記憶を導き出すことができず、誤った選択をしてしまう。
もう一つは未来の可能性を奪ってしまう。多様な人が集まることで革新的なアイデアが生まれたり、新しい技術が生まれてきたりという側面があるが、そこを軽視してしまうことによって可能性を奪ってしまう。でも米国って多様性の中でこれまで大きくなって世界の冠たる経済大国になっているわけだ。
膳場貴子氏:多様性が奪われていく懸念を私も取材をしながら感じました。これは米国に限った話ではなく必ず日本にも波及してくる話だと思って、本当に注視しながらいかなければいけないなと感じました。