膳場貴子氏:4月7日に2026年度の予算が成立しました。過去最大となった今回の予算、その財源となったのは“国民からの税収”です。しかし、そこには“見えない増税分”も含まれています。(中略)
ここ最近のインフレ、物価高が引き起こす「見えない増税」がいま話題となっています。それがいわゆる「インフレ税」。まず商品の値上がりによって、消費税で徴収される額が増えます。
さらにもう1つ、「見えない増税」の核心ともいえるのが「税率区分」です。2026年の春闘は、インフレを背景に歴史的な賃上げラッシュ。実はここに「インフレ税」の核心があると専門家は指摘します。
日本の所得税の税率区分は7段階。年収が640万円以上で課税所得330万円の人が、仮に賃上げで5%上がったとします。増えた16万5000円にかかる所得税は、税率10%ならば1万6500円ですが、区分が上がり20%となるため、所得税は3万3000円に跳ね上がるのです。
今と同じようなインフレとオイルショックに見舞われた1970年代。政府は「狂乱物価」とまでいわれた物価高対策に追われます。その結果、たびたび税率区分の変更などの対策がとられたのです。
ところが、その後のバブル崩壊で、日本経済はデフレに突入。牛丼一杯280円という時代に、物価対策も忘れられる形に。
こうした中、近年のインフレなどによって政府の税収も増加。2025年度は前年度より5兆円ほど増加が予想されるなど、6年連続で税収増となる見込みです。そのかなりを「インフレ税」が占めると木内さんはいいます。「見えない増税」に改めて目を向けるべきかもしれません。
『サンデーモーニング』は、インフレ税をめぐり、所得税の税率区分に問題があるかのように説明していますが、論点の核心はそこではありません。
インフレ税は資産課税であり、国民の資産から平等に課税するものです。しかも、その規模は小さくありません。インフレの分だけ、個人の資産が目減りする一方で、国は借金をチャラにできるのです。インフレ税は世代間の格差の是正に大きく貢献します。
問題は、このことに多くの国民が気づいていないことであり、コンセンサスなしに事が進んでいるとことです。インフレ税を話題として取り上げている『サンデーモーニング』もよくわかっていないようです(笑)。
国民は、物価高対策として消費税減税を求めていますが、この減税こそ、インフレをさらに進め、国民の資産を目減りさせるのです。
個人ブログ「マスメディア報道のメソドロジー」にて、論理学や心理学の定義に基づいた、メディアの報道・政治家の議論における論理的誤謬などの問題点を指摘。「ひるおび」「報道ステーション」「NEWS23」「サンデーモーニング」などの具体的な放送内容や議員の答弁、記者の発言などを例示しての論理的な分析が話題を呼んでいる。記事の一部を言論プラットフォーム「アゴラ」にも転載中。

