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電脳三面記事 蛭゛芸子

「持ってる」人

■キムタク人気で高視聴率!

木村拓哉って人気あったんだ~と思いました。1月クールで氏が主演したドラマ『BG』が、17.3%という高視聴率で幕を下ろしたからです。

もちろん、氏のピーク時と比較すればいささか寂しい数字ではありますが、若者のテレビ離れ、若者のドラマ離れ、若者のキムタク離れが話題となるなか、そしてSMAP解散騒動および4名のはずが3名が事務所から去り、2人が残ったはずが、やはりひとりぼっちというイメージが確立された大騒動のあとという、順風なのか逆風なのか、とにかく風が吹く状況では、健闘したと言っていいのではないでしょうか。

本人はもちろんのこと、所属事務所およびテレビ局の側も、このドラマを失敗させるわけにはいかなかったでしょう。勝つためには戦術を選ばないところも、それを隠そうともしないところも、この一戦が負けられない戦いであることを示していたように思います。

そのひとつがキャスティングであります。主役級の江口洋介、いまなぜかブレイク中の石田ゆり子を脇に置いたまではまあ正攻法でありましょうが、ゲストとして山口智子、矢沢永吉まで召還したんですよね。

山口と言えば、キムタクドラマバブルのひとつのピーク『ロンバケ』で、恋人同士になるまでの過程を演じた相手。それを元妻役でキャスティングしたわけですから、これは明らかに本歌取りですよね。そんでもって永ちゃんは本人役でのご登場で、ボディガードであるキムタクらに警護されるという役どころ。


ビッグな矢沢は、そういえば、最近、ドームライブの予定を発表しましたね。

役柄としては山口や矢沢でなくてもいいところ、なのになぜ歯を食いしばり数字を取りにいくのか、そんなにしてまで、と思った人も多いでしょう。よその世界の大物出演と言えば、『古畑任三郎』へのイチロー出演が記憶に新しいもののもう12年も前。このドラマは、イチローを出さずとも数字がとれていたので、テコ入れや内輪受けというよりは客も喜ぶ夢の共演感が強かったのではなかろうか。

■出版界も、国会も……

こうした「個人の持つ数字」への依存については、このドラマ放送前後にネットで話題になっておりました。舞台は出版社。近頃の出版企画はSNSでのフォロワーの多い人に持ち込まれ、宣伝まで丸投げに近く、SNSなるソフホーズで勝手に育った赤いトマトから売上げを搾取するようなもので、そんなんだったら高給取りでなくたってできるわけで、それじゃ出版社や編集者は何してんのという話でした。

出版社側は、畑を切り開き、耕し、種を蒔き、水をやり、肥料をやり、育てるという余裕がなくなったんでしょう。だからよその畑に手を伸ばし、自らの土地は休耕田として、あとは枯れるのを待つばかりになるわけですが、取り急ぎ今期の収穫を間に合わせるのに一所懸命なんですね。

テレビも出版も、稼げるところで稼いで、投資するところに投資する立場だったのに、いまや過去や他の分野で何かしらを築いた人の七光りで生きる道を選ぼうとしているわけですから、隔世の感がありますね。

しかし、こうして個人におんぶに抱っこで数字を積み上げることに躍起になっている彼らを、タレント議員をいっぱい当選させている我々がどうして批判できましょう。タレント議員と言えば、参議院、漫才師、オリンピック金メダリスト、さらば涙と言おう(現知事)、国民的アイドル、ヤンキー先生、顔はやばいよボディにしな、アナウンサー、百花繚乱です。

これに比べれば、他局の財産の有効利用、ライブ宣伝のためのドラマ利用など可愛いもの。政治ドラマは定期的に作られて放送されるので、そのうち現役政治家が出演するんじゃないかなと思います。その時に出演するのは誰で、局はどこなのか。なんとなーく想像できるような。

 

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著者略歴

  1. 蛭゛芸子

    「ネットはよく分からないけれど文章に惹かれる」というオジサマファン多し。

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