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山際澄夫の「左折禁止!」

安倍総理の蛮勇に期待する!

月刊Hanada2018年6月号より掲載

■政治は「信なくば立たず」

森友、加計問題の決着がまだつかない。昨年来の官僚の証言が覆ったり、内閣秘書官の発言に物言いがついたりするなど、日々新たな事実が明るみに出てきている。

この結果、内閣支持率は再び大きく下落している。愛媛県文書が明らかになったあと(※4月中旬)に行われたマスコミ各社の世論調査の内閣支持率は、▽共同通信37.0%(不支持52.6%)▽朝日新聞31%(同52%)▽NNN26.7%(同53.4%)──で、いずれも第二次安倍政権発足後最低水準となった。

しかも国民の多くは、一連の問題の責任が安倍首相にあると見做している。首相の国会答弁に「納得出来ない」は79.4%(共同通信)、「首相を信用できない」は66%(朝日新聞)。NNNの、「安倍首相答弁と愛媛県職員作成文書のどちらが信憑性が高いか」との設問には、愛媛県との回答が66.8%に対し、安倍首相と答えたのは8.6%のみだった。

世論調査はあくまでひとつの傾向として捉えればいいと思うが、首相への期待感がしぼんでいるのはたしかだろう。それはこのところ、どの調査でも安倍政権を支持する理由は「ほかに適当な人がいないから」で、支持しない理由は「首相が信頼できない」が多数を占めていることからもうかがえる。

小泉純一郎元首相が講演先で首相の自民党総裁三選について記者団に訊かれ、「まあ難しいだろうな。もう信頼がなくなってきた」と語ったが、細川護煕氏を担いだ都知事選や脱原発の動きなど、小泉氏の近年の言動を差し引いて考えるにしても、ここにきて首相の三選、したがって憲法改正が俄然、視界不良になってきたのはたしかだ。

首相自身がよく口にするように、政治は「信なくば立たず」だ。経済も国防も憲法改正も大事だが、信頼なくして民主政治は成立しない。その信頼が揺らいでいるのである。

■安倍総理に期待する、だからこそ……

国を憂える人々からは、「モリカケ? もういい加減にして」「日本には北朝鮮危機などより重要な問題がある」と苛立ちの声が噴出している。そのとおりだ。が、その声は、これまで国民の疑問に正面から向き合おうとしなかった側にも等しく向けられるべきものだろう。

森友問題では、佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問が行われたが、国民が最も知りたい部分は明らかにならなかった。また、ゴミ撤去を実際に行ったように見せるため、理財局職員がウソの説明をするよう森友学園側に持ちかけていたことも発覚した。

加計問題でも、新たに見つかった愛媛県文書に内閣秘書官と愛媛、今治、加計などの関係者との面会記録が残っており、「やはり加計ありきだったのでは」と指摘されている。

日本を任せられるのは「安倍首相しかいない」という声も分かるが、保守の本格政権といわれた安倍政権が5年以上も続いて、後継者一人いないとはどういうことなのだろうか。安倍政権が倒れれば保守政治も終わり、などということがあっていいはずはない。

もちろん、安倍政権の支持率が下がったからといって、国民は野党を信頼しているわけでも、政権を託したいと願っているわけでもない。無党派の動向に拠るとはいえ、いまのところ国民の多数は、反原発・集団的自衛権行使反対・憲法九条改正反対の野党に政権を任せるわけにはいかないと考えているのだと信じたい。

そうだとすれば、首相がやるべきは、疑惑解明への真摯な協力とともに、これまで目先の支持率や公明党を気にしてできなかったことに乾坤一擲、取り組むことではないか。崖っぷちだからこそ、やれることもあるはずだ。

日本が直面する課題は、第二次安倍政権発足当時から変わらない。まずは靖国参拝。そして、憲法改正を含む国防体制の確立だ。日本はいつまでも専守防衛、非核三原則などと言っていてはいけない。日米同盟といっても、どの国も自国を犠牲にしてまで他国を守ることなどないからだ。首相は、「拉致被害者を独力で奪還するためにも憲法改正が急務だ」と堂々と国民に訴えるべきだろう。そして、自衛隊を国軍として憲法に明記すべきだ。

北朝鮮の核撤去についても、米国が最後まで完全撤去を貫く保証はどこにもない。日本は米国に、「どんな形でも北朝鮮の核が残るようなら、日本は核武装を検討せざるを得ない」と通告すべきだ。それぐらい言わないと日本の危機感は伝わらない。

安倍首相の蛮勇──向こう見ずな勇気に期待したい。

 

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著者略歴

  1. 山際澄夫

    ジャーナリスト 1950年、山口県下関市生まれ。産経新聞政治部で首相官邸キャップ、外務省キャップなど歴任。その後、ニューヨーク支局長、外信部次長などを経て退社。著書に『これでも朝日新聞を読みますか?』『すべては朝日新聞から始まった「慰安婦問題」』など多数。月刊『Hanada』で「左折禁止!」連載中。

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