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西成「大中華街構想」に水を差した逮捕 羽田翔

(編集部より:本記事は月刊『Hanada』2019年6月号に掲載された羽田翔「新・日本紀行③ ドヤ街、飛田新地のあの西成に大中華街構想」の追加記事・続報です。雑誌に掲載記事をお読みいただけると、よりお楽しみいただけます)


 統一地補選前半のハイライトとも言える大阪府市長選は、吉村新知事、松井新市長が選ばれ大阪維新の会が勝利を収めた。その当選の記者会見の場には、新知事、市長とともに大阪維新の会副代表の今井豊府議会議員の姿もあった。

 『Hanada』2019年6月号「ドヤ街、飛田新地のあの西成に大中華街構想」でも書いたように今井氏は、府議会で中華街構想の端緒を切る質問をした人物である。もっとも維新の会はいま現在、都構想を巡ってガチンコバトルの最中。中華街構想の話自体が、政治の場で語られるような状況にはないように思える。

 さて、そんな状況下、その「中華街構想」推進派にとっては水を差すような報道がなされた。

 4月15日産経新聞の報道によると、50代の中国人姉妹が入管難民法違反容疑で逮捕されたのだが、そのうちのひとりは中華街構想の中核地・西成の商店街で、中華カラオケ店を経営していたのであった。

 逮捕容疑はかつて不法入国し、強制送還されていたにもかかわらず、他者になりすまして再入国していたもの。そのなりすまし入国で日本人と結婚までしていたというのだから、まさに法網をつかれた感じではある。産経新聞は「大阪・西成中華街構想に暗雲? 中国人不法残留の実態」といささか煽り気味のタイトルをつけていたが……。

 西成区商店会連盟会長の村井康夫氏にこの事件について話を聞いた。

「(逮捕は)あくまでも個別の話やからね。それで中華街構想云々という話にはならないと思う。まあ、同様なことが今後も起こるようならわからんけどね」

 あくまで、個人の問題であり中華街構想とは別個の話、ということだろう。

 もっとも、この事件とは別に中華街構想に関しては、商店街で大きな動きがあった。

「四月一日に、いわゆる中華街構想に関係する商店街、十一の代表、あるいは代理、そして林君(林伝竜大阪華商会会長)たち中華街構想の代表者四名と会合をもちました。これが、実質的に〝中華街構想〟を巡っての初の会合になるわけやけど。

 結論から言うと、林君たちは『中華街という名前と中華門の設置を認めて欲しい』。我々としては『ここには飛田という名前があるんやから、それは認めるわけにもいかない』。中華門にしても、それぞれ商店街ごとにアーケードと看板があるんやから同様やと。

 また三年前の中華カラオケの時に起きたゴミ出しや騒音のトラブルに関しても、改めてそのようなことが起きないよう、留意して欲しいとは伝えました」

 つまるところ、以前「非公式」の形で折衝していた頃と同様、平行線に終わったということになる。もっとも、村井会長は、

「平行線にしても、正式に双方の代表者が話し合いをもてたことは評価してもいいと思う」

 と捉えている。

 いずれにしても、地元商店街と中国側……いまだ相当の距離感があるのは間違いない。

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著者略歴

  1. 羽田翔

    1965年、東京都生まれ。編集プロダクション勤務、雑誌記者などを経てフリーライター。主なフィールドは現代風俗、若者カルチャー、芸能など。

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