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書評:中澤克二『習近平帝国の暗号 2035』

中澤克二『習近平帝国の暗号 2035

昨年末から、中国では核戦争を想定し、全軍が「臨戦態勢」に入っていた。Jアラート鳴動を「危機を煽っている」などとして茶化していた日本の一部論者たちは、この情報をどう受け取るだろうか。

題の「2035」とは、「中国が2035年、名実ともに国際社会の頂点に立つ」との習近平の野望を示す。それを揺るがせたのが、実は金正恩の核開発だったのだ。米朝対談で核戦争の危機は今のところは回避できたが、習近平はますます「2035の野望」に邁進するだろう。一帯一路、新シルクロード構想、AIIB……そのすべてが、この野望を達成するためのツールに過ぎない。

かねて中国は、建国100年を迎える2049年を節目としていた。このことは、マイケル・ピルズベリーの『China 2049』に詳しい。習近平はこの「100年マラソン」ともいうべき中国の予定表を、15年早めようというのだ。

だから、傍から見れば強引としか見えない手段に出る。現在、最も懸念されるのは「内乱」である。中国当局はウイグル人のスマホに、強制的にスパイウェアをインストールさせているという(Newsweek:「中国、ウイグル族にスパイウエアのインストールを強制」)。中国の電子化、通信事業の発展を絶賛する声も多いが、著者は「偉大なビッグブラザーは中国共産党」と断じる。

国内の熾烈な権力争いと、激動の朝鮮半島情勢を巡る中国外交、そして習近平の狙いを緻密な取材で描く。
 


日本経済新聞出版社 1944円(税込)

月刊Hanada2018年10月号』でも、中朝関係を分析!

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  1. 編集部

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