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電脳三面記事 蛭゛芸子

魅力も数値化できる?

月刊Hanada2018年9月号』より

■「顔面偏差値」をAIが測定

あれは6月のことでした。「AIで女性の顔の『魅力』も数値化」というタイトルの付けられた記事が炎上しました。

いろんな人が女性の顔の魅力度を点数化し、その点数を上げるメイクが提案できるという「魅力工学」なる分野の研究内容が紹介されたものでして、「女性の顔については、古今東西、大体同じ評価尺度が存在する」が、「男性の顔の魅力については、複数の評価尺度があるといわれている」ので、男の顔に点数を付けるのは難しいのだそうです。

こちとら、このところIT社長との熱愛が報じられた剛力彩芽、石原さとみ、小嶋陽菜あたりを見比べても、はてこれは同じ評価尺度で点数を付けられるのかしらと思うわけですが、お察しのとおり、問題は点数化のところです。ミスコンだって順位は付けても点数は付けないのに、そのミスコンそのものが減っていく時代に、ちょっと配慮が足りないというか、余計なお世話というか。

あれは昨年11月のことでした。アパレルネット通販大手で、週刊誌的表現をするなら剛力彩芽と堂々の交際宣言をした人物の率いるZOZOTOWNが、ZOZOSUITを発表いたしました。ウェットスーツのようなその代物を着ると、ボディサイズが瞬時に測定され、それをもとにネットで服が買えるので、ネット通販最大のウィークポイントである試着の問題がなくなるというわけです。

この試着問題についてアマゾンは、30日以内なら返品無料というソリューションを提供しておりまして、ZOZOがいいかアマゾンがいいかは、好みの問題でありました。

その後、実際にZOZOSUITが販売(といっても無料)されると、サイバー感あふれるデザインだったはずが、罰ゲーム全身タイツ仕様に変更されており、2017年のテクノロジーの限界を広く知らしめることとなりました。

■技術の正しい使い道

そして、今年7月のことです。ZOZOが「フルオーダー感覚」という微妙な表現をするスーツとシャツの販売を始めました。ZOZOSUITで計測したデータをもとにしたカスタムオーダーサービスの開始です。現時点ではメンズオンリーでして、これは、男性のスーツについては、古今東西、大体同じデザインが存在するのに対し、女性のスーツの魅力については、複数の評価尺度があるといわれているからなんでしょうネ。

このZOZOにアマゾン、そして現状では店で採寸し、ネットでセミオーダーという選択肢を用意しているユニクロがどのような対抗策を打ち出すのかも興味深いところではありますが、やっぱり技術はこうやって使ってほしいもの。商品やサービスをこっちに寄せてほしいのです。

よそ様がつけて下さる自分の顔の点数を上げるように、世の中ではこれがいいとされているからそれに近づけましょう、コルセットを身につけよ、シークレットシューズを履けというような提案ではなく、あなたの現状に合ったものを提供するためにこんな工夫をしましたという提案が見たいし、こちらとしましては、そういったものなら素直に試してみたいと思えます。

スタート時点で、現状の顔に点数を付けたのが失敗でしたね。個人差には言及せず、個人個人のスッピンをそれぞれのゼロとして、この方向にプラスするならこうではという提案をするならまだマシなので、おやりになるならそっち方面でぜひ頑張ってはいかがかと思いますが、そもそものところ、これのどのあたりが工学なのでしょうか。

この違和感、恋愛工学という名の品性下劣なナンパテクニック集の存在を知ったときにも抱きました。工学であるかのように振る舞うこうしたものについて、工学方面の人は怒ってもいいのではないでしょうか。

 

蛭゛芸子さんの連載が読めるのは『月刊Hanada2018年10月号』だけ!

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著者略歴

  1. 蛭゛芸子

    「ネットはよく分からないけれど文章に惹かれる」というオジサマファン多し。

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